フットボール“新語録”BACK NUMBER
日本人の年間最多ゴールを超えるか。
久保裕也、スイスで得点力が覚醒中。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2013/08/23 10:30
高校生時代にA代表に招集された逸材の才能が、スイスで花開きつつある。物怖じしない性格も、欧州でのブレイクを予感させる。
メッシくらいゴールを取ってやろうと思ってます。
久保はやや困惑しながら言った。
「ドゥンビアのプレーをあまり知らないので、比較されてもって感じなんですけどね。ただ、注目されるのはありがたい。スタートはいい感じで切れたので、この調子を続けていきたいです」
まだベルンでのアパート探しを始めたところで、ホテル暮らしが続いている。それでも19歳の点取り屋は、異国での生活を楽しんでいた。
「スタジアムにショッピングモールが併設されているんですけど、一昨日そこで髪を切りました。失敗です(笑)。まあ、まずは髪型からこっち(スイス)に入って行こうかなって。言葉は全然できないけど、今ドイツ語を勉強しているところ。チーム内では英語とイタリア語も飛び交ってますが、やっぱ一番はドイツ語。早くみんなと深い話をしたい」
最後に今季は何点取りたい? と訊くと、久保は規格外の答えを返してきた。
「取れるだけ取りたい。メッシくらい取ってやろうと思ってます。そんなんできたら、バルセロナに行けるのでね(笑)」
昨季メッシは国内リーグで46点を決めた。その前のシーズンは50点だ。途方もない数字だが、今の久保の嗅覚には現実的な数字として臭っているのだろう。
残念ながら日本でスイスリーグのTV中継はない。2014年W杯の直前、気がつけばとんでもないストライカーがスイスの地で生まれているかもしれない。