野球善哉BACK NUMBER
オリックスを去った名コーチを想う……。
藤井康雄がソフトバンクを変える!?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/11/10 13:30
藤井コーチの打撃理論はソフトバンクに導入されるのか?
藤井氏は2年前の秋、ほとんど独学で体幹を使ったバッティング理論を開発。オリックスの二軍に取り入れている。その結果が、先述したT-岡田のコメントにもつながっている。
「俺は監督じゃないからね。コーチも俺一人じゃない。いろんなコーチと話しながら、選手にはヒントを与えるという感じかなぁ。体幹を使うっていうのは感覚的なもの。動きながら打つのがいい人もいれば、止まって打つ方がいい人もいる。それは感覚だけど、つかんだらいいイメージで打てる。でも、バッティングは反復だからね。たとえば2~3日は良くても、4日目から悪くなる時がある。そんなときに違うこと教えると、選手はワケが分からなくなってしまう。忘れても同じことを言ってあげなければな、と。基本線は崩しちゃいけない」
変革の時を迎えるソフトバンクで、その熱い指導が始まる!
クライマックスシリーズで、ソフトバンクは打てずに負けた。
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小久保や松中などベテランも、そろそろ世代交代の時期を迎えている。
川崎のように、メジャー移籍も視野に入れる選手もいるし、和田、杉内らソフトバンクを支える投手陣にもメジャー挑戦がありうると考えれば、ソフトバンクにとっては攻撃面での活性化は急務になってくるだろう。
そんな時期での藤井氏の打撃コーチ就任は理解できる。
藤井氏を手放したオリックスと、その手腕を信じ即座に賭けに出たソフトバンク。その姿勢の差は、どんな結果であれ近い将来大きな違いとなって答えが出るのだろう。
果たして、藤井氏はソフトバンクの打撃陣を変えることができるのだろうか。
彼が言うように「コーチは一人じゃない」のだが、秋山監督や他のコーチ陣と熱く議論を重ね、身振り手振りを交え、時には自らそのプレーを実践して指導に当たる藤井氏の姿を見ていると思うのだ。
ユニフォームが似合う男だな、と。