甲子園の風BACK NUMBER
外野4人シフトを破る群馬の強打者。
前橋工・原澤健人を甲子園で見たい!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byJunji Koseki
posted2013/07/24 11:55
毎試合4人の継投で勝ち進んできた健大高崎を、打力で破った前橋工。この試合で原澤は本塁打こそなかったがしっかり得点機に絡み、同点で迎えた9回には、本塁にヘッドスライディングで突っ込み勝ち越し点を記録している。
前橋工の「エンジョイベースボール」は聖地に届くか?
これだけの強打者が自主的にチームプレーをしましょうかと提案すること自体、高校野球の世界ではかなり珍しい。
前橋工は昔から続く強豪校で、バンカラなイメージがあるが、実際には選手の自主性を尊重する気風がある。昨年まで一塁を守っていた原澤に三塁を守らせるについても「本人と相談して決めた」とのこと。この一連のやりとりを耳にして前橋工に対するイメージが大きく変わった。慶応大学が実践している「エンジョイベースボール」に近い野球環境と言っていいだろうか。
この日、2番手で登板してストレートで141キロを計測していた松島大地(3年・右投右打・173cm/70kg)は今大会で最速145キロまでスピードを増しているが、背番号は「10」。エースナンバー「1」を背負っているのは技巧派の塩沢英明(3年・右投右打・177cm/74kg)である。もし甲子園に行ったら背番号を改めて決めるとは選手に伝えているようで、「皆、メラメラしているんじゃないですか」と五十嵐監督はいたずらっぽく笑った。
聖地・甲子園まであと2勝。このチームが甲子園でプレーするところを私は見てみたい。