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メジャー移籍濃厚のダル、岩隈、中島。
ポスティング市場での「値段」は?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/10/19 10:30
プロとして活躍し始めた頃のダルビッシュは、父親が勧めても頑なに断るほどメジャー進出の欲がまったく無かった。日ハムやWBCでの活躍で自信もついたはずだが……
メジャーリーグの移籍にあたって、選手は「商品」になる。
特に今季のオフ、ポスティング経由でメジャーへの移籍が噂されるダルビッシュ、岩隈久志、中島裕之たちは、自分とポジションが重なるフリーエージェントの選手がどれだけ「市場」に出ているかによって「価値」が決まる。
ダルビッシュ、岩隈であれば先発投手でどれだけフリーエージェントの選手がいるか、中島であれば二塁手、遊撃手の供給量が問題になってくる。
メジャー市場におけるダルビッシュと岩隈の価値は?
まずはワールド・ベースボール・クラシックで活躍したダルビッシュと岩隈の市場価値から見ていこう。
今季のオフ、FA権を獲得する先発投手のなかで最大の注目選手は、プレーオフでも大活躍のクリフ・リー(32)である。参考になるのはヤンキースのCC・サバシアで、彼は7年間約140億円強の契約を結んでいるが、リーもサバシアを基準にして最低で5年間100億円以上の契約を求めるはずだ。
リーがダントツのエリートで、次のグループにジョン・ガーランド(31)、リッチ・ハーデン(28)ら30歳前後で10勝は期待できる選手たち。ドジャースで活躍した黒田博樹(35)は年齢で損をしているが、今季の活躍ぶりを考えるとこのグループに入ると見ていい。
まずはダルビッシュだが、2012年のシーズン終了まではポスティングでの移籍はしないという見方も依然としてある。
それでもメジャーの球団はダルビッシュの観察を続けており、各球団によって評価がかなり違う。
ヤンキースの関係者は「先発ローテーションの3番手」とコメントし、ナショナルズはエースとして考えている。当然、3番手と考える球団とローテーションの頭と考える球団では入札額が変わってくる。
ただし、24歳という若さが大きな武器となる。化けてくれればポスティング代も安い投資だった……ということになる可能性もある。
推測では20~25億円前後の入札額で、ダルビッシュ側はリーと同じ5年契約を念頭に交渉を進めるのではないか。