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メジャー移籍濃厚のダル、岩隈、中島。
ポスティング市場での「値段」は?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/10/19 10:30
プロとして活躍し始めた頃のダルビッシュは、父親が勧めても頑なに断るほどメジャー進出の欲がまったく無かった。日ハムやWBCでの活躍で自信もついたはずだが……
ストラスバーグが離脱したナショナルズはエース待遇!
これまで定期的にダルビッシュを観察してきた球団としては、
レイズ/ヤンキース/レンジャーズ/メッツ/ナショナルズ
の名前が挙がっている。
特にナショナルズは、スティーブン・ストラスバーグが肘の靱帯を再建する“トミー・ジョン手術”を受けた影響で来季は登板が不可能。エースとしてダルビッシュを迎えたい意向だが、果たして予算が間に合うかどうか? 予算的にはメッツが有利な気もする。
一説にはレッドソックスがポスティングに乗り出す可能性も取りざたされているが、レスター、ベケット、バックホルツ、ラッキー、松坂とすでに駒が揃っている。今年は巡り合わせが悪いのだ(松坂がトレードされたら話は変わってくるが、松坂に対するポスティング・フィーはムダだったという見方もあり、可能性は低いのではないか)。
岩隈の入札額はダルビッシュの動向次第!?
対する岩隈は、まだメジャー各球団の動きは鈍い。それでも評価が定まるにつれ、ポスティング・フィーは10億円から20億円の範囲にはなるだろう。
もしもダルビッシュが北海道日本ハムに残ると決断した場合は、岩隈の市場価値が必然的に上がる。
岩隈はまだ29歳であり、年齢的には売り手になれる可能性が残っていると見ていい。そして、ローテーションの3番手を探している球団も多い。ダルビッシュほどの年俸は払えないが3年で15億円前後の契約なら――と考える球団はあるはずだ。そうなると大都市の球団だけでなく、中規模マーケットに位置する複数の球団まで候補に入ってきて俄然面白くなってくるはずだ。
売り手市場に飛び込む「二塁手」中島。
野手でポスティングの噂が出ているのが、中島裕之(西武)である。一部には「西武はまだ中島を手放す気にはなっていない」という見方もあるが、今季、移籍するとしたら最高のタイミングと言っていい。なぜなら二塁手、遊撃手を求めている球団が多いからだ。
ざっとあげてみると……
・二塁手が必要な球団
アスレチックス/マリナーズ/メッツ/ナショナルズ/ドジャース
・遊撃手が必要な球団
オリオールズ/レッズ/ジャイアンツ
・二遊間の補強が必要な球団
ツインズ/カージナルス/アストロズ/パドレス
二遊間の選手たちは今季で契約が切れる選手が多く、移籍市場が活気づくのは間違いない。今季オフの中島に限って言えば、大きなチャンスが広がっていると言っていい。