MLB東奔西走BACK NUMBER
来季はシカゴかオークランド?
それでも松井秀喜が自信を得た理由。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKYODO
posted2010/10/18 10:30
今季最終戦となった10月3日のレンジャーズとのゲームで先制2ランを放ち、ベンチで祝福される松井秀喜
公式戦全日程が終了し、プレーオフも地区シリーズが終わった。残すは、リーグ優勝決定シリーズとワールドシリーズのみだ。
プレーオフに登録された唯一の日本人選手・斎藤隆が所属するブレーブスの敗退が決まり、ついに2002年から続いていた日本人選手のワールドシリーズ連続出場という大事な記録も途絶えてしまった。
昨年の今頃は松井秀喜がヤンキースで大活躍をみせていた。日本人選手として初のワールドシリーズMVPに輝くなど強烈なインパクトを残したが、今シーズンは自身が所属するチームが初めてシーズンで負け越すという厳しい結果に終わった。
期待を一身に集めてのエンゼルス入りだったのだが、思い通りの成績を残すことができず、シーズン終盤には左先発投手の時にベンチ・スタートとなる状態にまでなっていた。だが、松井秀のシーズン成績を他チームの指名打者と比較してみると、決して見劣りするようなものではないのだ。次の表を見て頂きたい。
試合数 | 安打数 | 本塁打数 | 打点 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | ゲレーロ | 152 | 1 | ゲレーロ | 178 | 1 | オルティス | 32 | 1 | ゲレーロ | 115 | |||
2 | リンド | 150 | 2 | デーモン | 146 | 2 | ゲレーロ | 29 | 2 | オルティス | 102 | |||
3 | 松井秀 | 145 | 3 | オルティス | 140 | 3 | スコット | 27 | 3 | 松井秀 | 84 | |||
3 | デーモン | 145 | 4 | リンド | 135 | 4 | ブラニアン | 25 | 4 | リンド | 72 | |||
3 | オルティス | 145 | 5 | 松井秀 | 132 | 4 | トーミ | 25 | 4 | スコット | 72 | |||
7 | 松井秀 | 21 |
ご覧のように、本塁打数を除けばすべての部門でリーグベスト5にランクしているのだ。
エンゼルス・ファンにゲレーロと比較された松井の不運。
だがエンゼルス・ファンからすれば、松井の比較対象はどうしても前任のブラディミール・ゲレーロということになってしまう。
今季はレンジャーズの4番として強力打線を牽引していたゲレーロに対し、打撃不振からクリーンアップに定着さえできなかった松井秀では、どう転んでも勝ち目はない。
さらに松井の月間成績とチーム月間成績を並べると、松井秀の不振がチーム成績に及ぼした“負”の影響も見えてくる。以下の通りだ。
4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9~10月 | |
---|---|---|---|---|---|---|
打率 | .273 | .184 | .318 | .228 | .304 | .352 |
本塁打 | 4 | 3 | 3 | 4 | 3 | 4 |
打点 | 13 | 14 | 19 | 9 | 16 | 13 |
チーム成績 | 12勝12敗 | 14勝15敗 | 18勝9敗 | 9勝17敗 | 11勝16敗 | 16勝13敗 |
最も不振だった5月は、まだ主軸の1人であるケンドリー・モラレスが離脱前だったこともあり14勝15敗と踏ん張ったが、最少打点に終わった7月は9勝17敗と大不振。この頃にチームも地区首位争いから脱落していったことを考えれば、やはり松井の不振がチームにとってかなり誤算だったと言わざるを得ない。