オリンピックへの道BACK NUMBER
女子ジャンプの先駆者、山田いずみ。
母として挑む、初の女性コーチ。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2013/07/15 08:01
今回の合宿でソチ五輪でメダルが期待される高梨沙羅に対し、山田氏は「これから、もっとプレッシャーがかかってくる。うまくフォローしてあげられれば」と話した。
「コーチは初心者なので、どんどん勉強したい」
コーチ業も決して容易ではない。
「コーチは初心者なので、どんどん勉強して技術的なことも教えられるようになりたいですね」
と、語る。
環境面の問題もある。山田氏は'10年に結婚し、現在は一児の母でもある。
「今回のように合宿があれば、家族に育児を頼まなければなりませんし、家族の負担が大きくなります。だから(遠征などにも)全部は行きません。中途半端な気もしていますが」
ナショナルチームのコーチになったとはいえ、特段、そうした面でサポートが得られるわけではないという。自分でやりくりする方策をたてなければならないのだ。
それでも、こう語る。
「引退したらコーチになりたいという(女性の)選手も出てくると思います。そういう子がスムーズに進めるようになれば。コーチのサポートシステムといった面についても訴えていきたいと思います」
指導者として、再び日本の“先駆け”に。
むろん、コーチ業への意欲も満々だ。
「気持ちの面で選手をフォローしていきたいですね。ふつうに考えて、男のコーチにいいづらいこともあるので、女性のコーチとしてそういう部分はうまく間に入って橋渡しになりたい」
ソチ五輪へ向けて、山田氏の就任は日本女子チームに何をもたらすのか。
そして男性のみだった日本ジャンプ界の指導体制に、女性指導者の道筋をどのようにつけていくか。
選手時代は女性ジャンパーの先駆者として歩んできた。そして指導者として、再び先駆けになろうとするこれからの活動にも注目したい。