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西武・浅村、SB・千賀、楽天・藤田。
勝手に推薦! 球宴で見たい3人の男。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/07/01 12:20

西武・浅村、SB・千賀、楽天・藤田。勝手に推薦! 球宴で見たい3人の男。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ソフトバンク交流戦優勝の立役者とも言われる千賀滉大。150kmを超える速球と落差の大きいフォークで豪快に打者をしとめるピッチングに、王貞治球団会長も「夢を与える投手」と絶賛する。

成績が落ちると、「早打ち」が悪いと思われてしまう。

 なかでも、4番を任されて2試合目のヤクルト戦(5月31日)は浅村の独壇場だった。

 西武・牧田和久とヤクルト・石川雅規が競い合うような投手戦だったが、8回裏、浅村が先制の本塁打を放った。9回表に、守護神・サファテが追いつかれてしまったのだが、その裏、ドラマが待っていた。

 浅村は2人の走者を置いて打席に立つと、カウント1-1からの3球目を一閃。左翼スタンドにサヨナラの3点本塁打を叩き込んだのだ。

 手元まで呼び込んで積極的に振りにいっての豪快な2発だった。

 とはいえ、浅村のような積極的な姿勢を持ち味にする打者は、紙一重の問題も抱え込んでいる場合が多い。

 結果が残せているうちは評価されるが、そうでない場合は「早打ち」との批判を免れない。ボールを選ばないことが、凡打の増加につながると指摘されることがあるのだ。また、技術的な部分でいえば、振りにいこうという積極的な姿勢が、逆に身体が前に突っ込む悪癖をまねいてしまう危険性も孕んでいる。

自分の間合いで勝負でき、安定感を見せ始めた浅村。

 2009年に入団してから昨季までの浅村の成長は、時に目を見張るものがあるが、不安定さを常に抱えていたのも事実だった。一軍で活躍するようになって3年が経つが、過去にシーズンを通して3割をキープしたことはない。その数字が、浅村の課題を浮き彫りにしていた。

 だが、今季の浅村にはその不安定さがない。打つと決めた球は必ず仕留める。

 見ているこちら側が気持ちいいぐらいに。

 今季好調の理由を、浅村はこう語る。

「4番は意識していないです。チャンスで1本を打てれば、と。タイミングがゆっくりとれていることと、打席の中で余裕があるのがいい結果につながっている。変にボールにがっつくことがなくなったのがいい感じで打てている要因だと思う。自分が打てると思った球だけを、振りに行けている」

 自分の間合いの中での積極的なバッティング。打てるコースが広がったのも大きな要因といえるだろう。6月30日の日本ハム戦では4打数3安打1打点と活躍。打率.307、11本塁打45打点は彼の成長の証である。

 オールスターのような大舞台で、是非見てみたいバッターのひとりである。

【次ページ】 育成から這い上がった男、ソフトバンクの千賀滉大。

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