野球善哉BACK NUMBER
西武・浅村、SB・千賀、楽天・藤田。
勝手に推薦! 球宴で見たい3人の男。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/07/01 12:20
ソフトバンク交流戦優勝の立役者とも言われる千賀滉大。150kmを超える速球と落差の大きいフォークで豪快に打者をしとめるピッチングに、王貞治球団会長も「夢を与える投手」と絶賛する。
ファンの絶大なる人気を得ている選手では、今のところない。
オールスタープレイヤーに値するほどの実力を持ちながら、知名度では劣ってしまう。
ファンが好きなのは誰もが知っている選手であり、ゴールデンルーキーと騒がれる選手である。宮本慎也(ヤクルト)のようなベテラン、大谷翔平(日本ハム)のようなルーキーは、とても分かりやすく、ファンに人気だ。
新人ながらセ・リーグで7勝(成績はすべて6月30日現在)を挙げている巨人・菅野智之は、今、セ・リーグの投手陣で最も質の高いピッチングを続けている。ヤクルトのルーキー小川泰弘(先発投手部門2位)も独特なフォームでリーグトップの8勝を挙げている。だが、彼らはオールスターのファン投票では票が伸び切らなかった。選手間投票しかり。現在のパ・リーグの首位打者、質の高い打撃を魅せているソフトバンクの長谷川勇也ですら、その実力は人気という面から見ると過小評価されているのが現状だ。
前半戦が間もなく終わりを告げようという今シーズン、彼らの他にもその力をいかんなく発揮している選手たちがいる。知名度こそ、それほど高くはない。けれども、かなりの能力を持つ選手たちである。
数少ないオールスターの枠に入ることへの期待も込めて……今回はちょっと変わった視点から3人の選手を推薦したい。
西武・浅村栄斗、ソフトバンク・千賀滉大、楽天・藤田一也である。
積極性が持ち味の“フルスイング男”浅村栄斗を推す!
西武の4番を打つほどに成長した浅村は、積極性が持ち味の勝負強い打者だ。
ストライクゾーン付近に来ると、カウントに関係なく必ずフルスイングする。
「積極的に行くのが自分のスタイル。高校の時から続けてきた」
本人はそう話すが、「積極性」という言葉さえ、物足りなくなるほど浅村のスイングには迷いがない。
打率は開幕から現在まで3割をほぼキープしている。開幕時は6番を務めたが、その後、1、6、7番を行き来し、5月29日のDeNA戦以来、4番を務めている。