MLB東奔西走BACK NUMBER
イチローが偉業までの秒読み開始!
苦難の10年間に意外なデータを発見。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byKYODO
posted2010/09/17 11:00
9月14日のレッドソックス戦では、松坂大輔からタイムリー2塁打を打ったイチロー
全ての打撃理論が「イチロー」という言葉で終わる時。
周りからは結果しか見えていないが、選手たちは想像を絶するほど繊細な部分で好不調をかけた“内なる闘い”を続けているのだ。それは、今まさに偉業を成し遂げようとしているイチローとて決して例外ではない。
松井稼や吉岡のみならず、職業柄多くの選手たちと打撃理論について話し込んだりするのだが、彼らはよく「でもイチローさんは」「だからイチローさんは」という風に議論を締めくることがある。いうまでもなく、自分たちがなかなかできない「理想の打撃」をイチローが実践していることに、多くの選手たちが羨望や驚嘆を感じているからに他ならない。
一流の選手たちにとってもかなり気まぐれな「打撃」という要素を、10年以上にわたって高次元でコントロールし続けているイチロー。他の選手には絶対に真似のできない打撃の安定とその回復力があるからこそ、130年を超えるメジャーリーグ史において誰一人として達成できなかった金字塔を打ち立てられるのである。