MLB東奔西走BACK NUMBER
メジャーを席巻する超弩級の新人、
ヤシエル・プイグは「史上最強」か!?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/06/22 08:02
身長191cm、体重111kgという長身に加え、全身がバネのようにしなるそのプレーはこれまでのメジャー選手とは違ったすごさがある。22歳という若さにそのパワーは底知れない。
主力選手が順調なら、超弩級の才能は埋もれていた!?
今年のスプリング・トレーニングからすでに実力の片鱗を覗かせていたのだ。昨年は契約が遅かったためルーキーリーグと1Aで計23試合に出場しただけだったが、今年はメジャー・キャンプに参加し、オープン戦27試合に出場し、打率.517、3本塁打、11打点という驚異的な成績を残していた。
だがドジャースの外野陣はマット・ケンプ選手、カール・クロフォード選手、アンドレ・イーシア選手という不動の主軸打者が揃っており、オープン戦の好成績だけでプイグに付け入る隙があるはずもなく、予定通り開幕から2Aに回っていた。
今回、メジャーに昇格できたのもケンプ、クロフォードの相次ぐ負傷離脱が重なったためで、もし彼らが今でも故障なくプレーを続けていたとしたならば、プイグの昇格はきっとなかっただろう。
もちろん、ファンやメディアはスター選手登場に注視する。今では地元紙がケンプ、クロフォードが復帰後は、右翼でプイグと競合し、開幕から不振が続くイーシアの不要論を展開する始末。もちろんプイグのマイナー降格など想像すらしていないはずだ。
敵地でも注目度は抜群……巨大化する一方のプイグ旋風。
すでにその人気は全国へと拡大しつつある。
6月19日に行われたヤンキースとのダブルヘッダー前日には、敵地ながら試合前にプイグの記者会見が開かれたほどだ(残念ながら会見に同行したプイグの通訳があまり英語が流暢でなかったため、米国人記者を満足させるような内容を聞き出すことはできなかった)。
1995年に一大旋風を巻き起こした野茂英雄投手が、その注目度が全国規模に拡大したため新しい遠征地では必ず記者会見を開いていたように、このままの活躍が続くようであればメジャーに新たな旋風が巻き起こるかもしれない。
暫くの間は、プイグから目が離せそうもない。