セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
“アズーリ”から見たコンフェデ杯。
智将の大胆采配が日本代表を襲う!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/06/18 10:31
友人関係であるだけでなく、互いにリスペクトし合うプランデッリ監督(左)とザッケローニ監督。相手の手のうちを知る2人はいかにして戦うのか。
ユーベとミランの精鋭たちは新布陣にも難なく対応。
大会本番直前になって、指揮官プランデッリはメンバー入れ替えと布陣変更というショック療法を施すことを決断した。
通称“アルベロ・ディ・ナターレ(=クリスマスツリー)”と呼ばれる新布陣「4-3-2-1」は、ここまでのW杯予選で一度も使われたことがなかった。
にもかかわらず、プランデッリに躊躇いはなかった。
昨年のEURO初戦でも突如3バックを用いて王者スペインを驚かせた智将は、セリエA連覇を達成したユベントス組へ絶大な信頼を寄せる。センターバックに復帰したDFキエッリーニも含め、メキシコ戦ではユーベ組の攻守6人を先発メンバーに起用。残るスタメンのうち、両サイドバック(アバーテ&デシーリオ)と中盤の要(モントリーボ)、エースFW(バロテッリ)は、ミラン組が占めた。
2つのビッグクラブ所属選手たちによる阿吽の呼吸が息づくアズーリは、急な布陣変更にも難なく対応した。彼らの青い代表ユニフォームの下には、ユーベとミランのチームカラー“ビアンコネーロロッソ(=白黒赤)”が隠れている。
得点源のピルロ、バロテッリともに調子はうなぎ登り。
天才司令塔ピルロは、メキシコ戦で代表通算100試合出場を果たし、前半27分には、観る者すべてに鳥肌を立たせるようなFK先制弾を、鮮やかに流し込んだ。
「世界中のプレーヤーが夢見る伝説のスタジアム“マラカナ”でFKを決めたんだ。言うことないね」とご満悦のベテランMFは、グループリーグ初戦での白星がとりわけ重要だったと強調する。「2日間でしっかり体を休めて日本戦に臨みたい」と体調管理にも注意を払う。
メキシコ戦のもう一人の主役バロテッリは、試合終盤にジャッケリーニの技ありアシストを逃さず、相手DFを引きずりながら迫力の決勝ゴールを押し込んだ。EURO準決勝ドイツ戦以来、久々に披露したマッスル・パフォーマンスにイエローカードを頂戴し、プランデッリ監督から「もう筋肉は見せなくていい」とお灸を据えられるオマケもついた。
だが凹むこともなく、試合後「このコンフェデ杯はもちろん、この先も代表でゴールを奪い続ける」と力強く言い放った。代表通算9ゴール目を挙げた怪童は、大会前に往年の名FWリーバが持つ代表通算得点記録(35ゴール)を狙うと宣言している。