野球クロスロードBACK NUMBER
“落合竜”優勝へのカギは、
定石外れの「勝利の方程式」。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/09/08 12:30
中日のリレー攻勢が「貧打」巨人の焦りを誘う。
「後ろにあれだけいるんだよ。あの展開で3人以外に誰を投げさせるの?」
8回は浅尾、9回を岩瀬が締め、中日は盤石の投手リレーで勝利した。このコメントでも分かるように、落合は高橋、浅尾、岩瀬を信頼しているからこそ強気の采配ができた。
ただ、「7回から」といった型にはめた継投はしない。「5回までリードしていれば6回からでも行くよ」という姿勢をまず初戦で見せた。2戦目、3戦目では3人のリレーはなかったが、「貧打」と報道された巨人からすれば、「先発から多く点を取らねば」という焦りが空回りした結果だとも判断できる。
3日の試合後、落合は「今は仕事だから。シーズンが終わればゆっくり休めるよ」と、残りの試合は3人をフル稼働させることを示唆するコメントを残した。
中日がシーズン1位になるためには、「勝利の方程式」はもとより、打線の奮起も絶対条件となってくる。
当然、その心構えは攻撃陣にもある。3日の試合で本塁打を放ちチームに勢いをつけた和田は、自分を奮い立たせるようにこう話していた。
「ずっといい状態は続かないから、初回から相手ピッチャーを打ち崩すつもりで、打てる球はどんどん振っていくしかない。いつも投手陣に助けてもらうわけにはいかないので、粘り強く打っていきたいです」
敵地・甲子園での阪神戦は相性が悪いが……。
早出特打ちを精力的に行い、好調を維持している森野も気合を漲らせている。
「勝利に繋がるところで1本打つためにバットを持っている。2位じゃなくてもうひとつ上、1位を目指す。悔いは残したくない。負けたくない!」
0.5ゲーム差に迫った7日の首位・阪神との天王山では0対1で敗れた。今季、中日は敵地での阪神戦で2勝6敗1分と相性が悪い。
しかし、それも落合に言わせるとこうなる。
「どこのチームがそんなにいっぱいアウェーで勝ち越しているの? 負けた分、ここ(ホーム)で勝てば帳消しになる」
ナゴヤドームでの対阪神戦は8勝1敗。21日からはホームでの三連戦を控えている。シーズン終盤の今、目先の勝利も大事だ。それは言わずもがなのこと。竜の目はその先もしっかりと見据えている。