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屈辱の昨季から何が変わったのか?
歴代最強バイエルン、CL制覇の確信。  

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2013/05/23 11:50

屈辱の昨季から何が変わったのか?歴代最強バイエルン、CL制覇の確信。 <Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

CL決勝を控え、公式記者会見に臨んだバイエルンのラーム(左)とシュバインシュタイガー。ラームは「代表チームやブンデスリーガを含め、ドイツサッカーはこれから数年間、欧州で最も注目されることになるだろう」と語った。

守備でのハードワークを可能にさせた的確な補強。

 ハインケス監督のもとでさらなる強化に努めてきたバイエルンには、昨シーズンと比べて特筆すべき点があると、同紙は付け加える。

「すべての選手が参加する守備でのハードワークだ。中央でもサイドでもその意識があり、前線から最後尾までがコンパクトになった。これにより、ボールを失ってもすぐに取り返すことができるため、ボールを支配して攻撃に移ることが出来るのだ」

 この進化を可能にさせたのが、ラームも語っている「ターゲットを絞った補強」である。

 今季の主だった加入選手は3人。FWマンジュキッチ、MFマルティネス、DFダンテだ。レギュラーとなった彼らはいずれもセンターラインの選手であり、チームの背骨が強化されたことで、バイエルンのチーム力は如実にアップした。

「これまでのシーズンと比べてバイエルンが飛躍的に成長したのは、守備の質」と指摘する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙は、彼らの特徴をこう分析する。

「マンジュキッチは、ヨーロッパの中で最も守備に対して勤勉で、最も利他的なフォワードだ。彼がバイエルンのプレスをスタートさせる。マルティネスは、その知恵でもって、中盤のスペースを埋めていく。ダンテは泰然自若なブラジル人で、一級のディフェンスリーダーだ」

CL制覇に確かな自信を見せるバイエルンの選手たち。

 ドイツでの6シーズン目を終えたヴォルフスブルクの長谷部誠は、対戦相手からの視点でバイエルンをこう評している。

「バイエルンはここ2、3年に非常に悔しい思いをしているので、そういう意味ですごく今季にかける気持ちが強いなというのはシーズンを通して感じます。補強とかを見ていてもそうですよね」

 当のバイエルンの選手も、確かな自信を見せる。

 チームの中でも最も気持ちを前面に出す選手であるミュラーは、こう話す。

「ヨーロッパの舞台では、僕たちが足元にも及ばないチームなんていなくなったんだ」

 新加入のダンテは、謙虚に語る。

「僕は(バイエルンに来る際に、代表取締役である)ルンメニゲに対して、『自分は最高の選手です』なんて言ってはないんだよ。『チームを助けたい、タイトルを獲得したい』って伝えたわけさ」

 5月25日の決勝で相まみえるドルトムントは、準決勝の2ndレグで負傷しながらも今週から練習に復帰したゲッツェが再び患部を痛め、欠場することになった。それだけにバイエルンの選手たちは、今回が最高のチャンスだと考えている。

 5月11日、今シーズン最後のホームゲームで、キャプテンとして初めてマイスターシャーレをかかげたラームもその筆頭だ。彼はこんなことを明かしている。

「実は、自宅で息子のユリアンと一緒に(CLのトロフィーを掲げる)練習をしているんだ。準備は出来ているよ」

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