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日本ハムを超える“最強”外野陣へ!
ロッテ・清水雅治コーチの育成法とは?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/05/22 12:15
日本ハムとの対戦時、“教え子”の中田翔をいじるロッテの清水雅治コーチ。
加藤だけでなく、荻野、清田らの起用も当たる。
「清水さんは選手の後ろ盾になってくれる」と語るのは、開幕を2軍で迎え、5月8日にようやく昇格、レギュラーをつかみつつある荻野貴である。
「チャンスをもらうと、結果を出さなアカンと思って力んでしまうところがあるんですけど、清水さんは『8割くらいの気持ちでやれ』って言ってくれます。すごく気が楽になりました。スローイングに関しては、僕の場合は、捕ってすぐに投げようとしてしまうんです。それだとバランスを崩すから、ゆっくり投げるようにと指導してもらいました」
清水コーチのメッセージは浸透しつつある。
前述した加藤の活躍のあとも、ロッテの外野陣は層の厚さを見せつけている。
5月14日の巨人戦では、3点ビハインドから試合をひっくり返した。0-3の展開から6回表に2点を奪って反撃。その攻撃では投手の打順で清田が代打出場。2番・荻野貴で攻撃は止まったのだが、その裏、伊東監督は荻野貴の打順で投手を入れ、代打で出塁した清田を守りにつかせたのである。そして8回表、清田は好機が回ってくると、同点適時打を放ち、さらには根元俊一の適時打で5点目のホームを踏んだ。
交流戦ということもあって、投手を上手く使いこなしていく当然の策だったとはいえ、清田が勝負強いだけの守れない選手だったら、あり得ない起用であった。
どんな状況にあろうと、すぐに戦える準備をしている選手達の緊張感。
そして、ここ数試合では荻野貴、伊志嶺、清田の起用が当たっている。
5月17日のヤクルト戦では、伊志嶺が先制の本塁打を放ち存在感をアピール。19日の広島戦では荻野貴が適時三塁打を放ち、今シーズン2度目のお立ち台に上った。20日には清田が6番打者として1安打2打点の活躍をみせ、広島のエース・前田健太に土をつけた。
「下で調子が上がってきて、いつかチャンスは来るだろうと思っていましたが、結構、時間がかかりました」と荻野貴が言えば、「試合に出ていても、試合に出ていなくても、同じ気持ちで集中してベンチに座っている」と伊志嶺はいう。彼らのコメントのすべてが、ロッテ外野陣の熾烈なレギュラー争いを物語るものだ。