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日本ハムを超える“最強”外野陣へ!
ロッテ・清水雅治コーチの育成法とは?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/05/22 12:15
日本ハムとの対戦時、“教え子”の中田翔をいじるロッテの清水雅治コーチ。
試合への貢献という意味では打撃も守備も同じ価値だ。
もし、中田が守れない男だったら……。
昨シーズン、開幕から24打席無安打だった彼を栗山英樹監督は使い続けただろうか。
もし、栗山監督が中田を使い続けていなかったら……。
彼はあれほど大きく成長しただろうか。
中田が言う。
「最初はね、確かにバッティングの方ばかり気持ちがいっていたときもありました。でも、守備があってのバッティングだし、守備の中ででも、チームへの貢献の仕方はいろいろあると思えるようになったんです。ボールを捕球することもそうだし、スローイングにしてもそう。試合への貢献という意味では、全部一緒やということ。それは清水さんに教えてもらった」
栗山監督の我慢強い起用があったから、中田は昨季、最終的に24本塁打を打つことができた。その経験がWBCにも生き、今季のこれまでの好成績につながっていることはいうまでもない。
だが、さらにその先を辿れば、中田を「守れる」選手にした清水の指導があったからこそなのである。
外野守備では、10割の力の強い球より、5割の力でいい球が重要。
ロッテに移っても、清水コーチの哲学は変わらない。
「特に、選手が外野守備で苦労するのはスローイングです。選手は、いい球を投げようと思うと、10割の力を入れようとするんです。10割の力で投げようとすると、身体が開いてしまって、ボールに力が伝わらないからいい球がいかない。10割で投げたのと、5割の力で投げたのとで、なぜ5割の力で投げた方がいい球が行くんだ? と選手には問いかけています」
清田もその癖が出る選手の一人だった。
もともと、東洋大の3年春まで投手だった清田は外野守備の経験の浅さから、そのクセが時々顔を出す。投手としての『投げる』という意識だけが強くなってしまい、とにかく強い球を投げようとしてしまうのだ。
「外野の経験が少ないので、課題ばかりです。スローイングが力んじゃうんです。今はバランスよく投げることを意識して、そこを清水コーチには見てもらっています」
と清田は話す。