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今季、気になる“世代交代”の主役は?
楽天・西田哲朗とロッテ・江村直也。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/03/26 10:31
楽天の春季キャンプ・紅白戦での西田哲朗の溌剌としたプレー。早く怪我を治して、本調子で松井とポジション争いを繰り広げて欲しい。
「ポスト里崎」の最右翼? 千葉ロッテ3年目の江村。
「まだ誰が一軍に残るか、全く分からない」
オープン戦も終盤に掛かったころだった。今季から千葉ロッテの監督に就任した伊東勤監督は、チームが抱える問題にそう言って顔を歪めた。彼は、自身が務めたポジションでもある捕手のレギュラー・里崎が、開幕には間に合いそうにないことで悩んでいた。
伊東監督は、就任直後の秋季キャンプから「ポスト里崎」を想定した後継者を探し続けてきた。就任後しばらくは、昨季50試合に出場した田中雅彦(3月25日に川本良平との交換トレードで東京ヤクルトスワローズへの移籍が発表された)や、打てる捕手・金澤岳、大卒3年目の小池翔大、高卒3年目の江村直也らがその後継候補らだとされていた。
この中で注目したいのは、3月5日のオープン戦から出場しており、打席数こそ少ないながらも3割をマークしていた3年目の江村である。
3月16日の阪神戦では大阪桐蔭高の先輩、岩田稔から2安打を放ち、守っても盗塁を1つ刺すなど攻守でそのポテンシャルを見せつけている。24日のオープン戦最終日でも、途中出場して2安打を記録している。
強肩は魅力だが、リード面では「まだまだ(伊東監督)」。
「バッティングの方は、必死に食らいついているという感じで、結果に関してはそこまで意識していない。やっぱり捕手なので、まず守れないといけないと考えています」
活躍した24日の試合後でも、江村の表情は決して明るくなかった。「足りない部分ばかりで毎日が勉強です」と話すように、リードの面で苦悩しているからだ。
「監督からはもっとバッターを見ろと言われています。特に、外国人選手が打席に入った時の初球の入り方とかを意識するようになってきました」
江村は高校時代から強肩が持ち味の捕手だった。高校3年春の甲子園に出た時には、二塁への送球が常時2秒を切るなど、高校球界屈指の捕手として知られていた。
昨シーズン、ファームで32試合に出場。伊東監督が就任した昨年秋のキャンプから一軍に帯同し、監督から直接指導も受けている。当然、指揮官も期待はしているが、現時点では監督からの声は手厳しい。
「(江村は)まだまだだね。リード面は特にそう。こちらが要求していることができていないし、ベンチからの指示を見逃しているところもある。いい経験はしていると思うけどね」