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前半戦好調から一転、インテル危うし。
若き指揮官の拙いマネジメント術。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/03/21 10:30

前半戦好調から一転、インテル危うし。若き指揮官の拙いマネジメント術。<Number Web> photograph by Press Association/AFLO

ヨーロッパリーグ決勝トーナメント2回戦で姿を消したインテルの若き指揮官ストラマッチョーニ。

カッサーノとの間に起こった喧嘩が意味するもの。

 先発メンバーの選択ミスや、ゲームへの入り方に対するメンタルアプローチの指導力欠如は、再三指摘されている。残り10戦に向けて、とりわけ危惧されるのは“チームマネージメント術の拙さ”だ。

 元来、インテルにはクラブ特有の奔放な気風があるが、若いストラマッチョーニはそれに輪をかけて、選手に歩み寄りすぎた。FWカッサーノには“タメ口”すら許してきた。

 3月初旬、練習後のロッカールームでストラマッチョーニとカッサーノが、あわやつかみ合いの喧嘩を始める事件が起こった。

 発端は、紅白戦の笛を吹いたストラマを、クラブの元監督でもある名将モウリーニョになぞらえたカッサーノの皮肉めいた冗談だった。実績を持つ前任者と比べられることを好む指導者はいない。侮辱と受け取った指揮官は冷静さを失い、カッサーノと罵り合いを続け一触即発の事態に。周囲が慌てて止めに入ったものの、相思相愛と見られていた2人の関係に亀裂が走り、チーム内にも不穏な空気が残った。

 冬にMFスナイデルが抜け、ミリートも今季絶望となったチームで、FWパラシオと攻撃を担うカッサーノは「ここじゃ3本とパスがつながらない」と不満をこぼすようになった。37歳の若いストラマが、わがままな司令塔を気分よくプレーさせることを優先させた結果、悪童の増長を招いたのだ。

監督の職にある者は選手との間に一線を引かなければならない。

 どれだけ選手から慕われようとも、どれだけチームの和を重視しようと、監督の職にある者は選手との間に一線を引かなければならない。時に傲岸不遜と批判を受けるコンテ(ユベントス)や、カッサーノの特別扱い要請を突っぱね昨夏の移籍を容認したアッレグリ(ミラン)なら、そのあたりのさじ加減は間違えない。

 28節でボローニャ相手にあえなく敗れ、リーグ戦9敗目を喫すると、来季監督候補としてマッツァーリ(ナポリ)やミハイロビッチ(セルビア代表)、ブラン(前フランス代表)などの名前がにわかに浮上してきた。

 ブランカTD(テクニカル・ディレクター)とモラッティ会長には、シーズン中、何度かストラマッチョーニを解任できるタイミングがあったはずだが、彼らは問題解決を先送りしてきた。クラブ内外のプレッシャーを乗り越えて3位を獲得できたとき、ストラマはようやく1人前のセリエA監督になれるのかもしれない。

【次ページ】 長友の復帰と共に始まるインテルのラストスパート。

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