日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
本田、長友不在の日本をW杯へ導く!
ヨルダン戦、「トップ下・香川」の期待。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/03/15 12:10
メンバー発表前から怪我の影響で本田と長友の招集は難しいと予想されていたが、香川は「集まったメンバーで最高のパフォーマンスができれば。是非、この試合でW杯出場を決めたい」と語っていた。
本田圭佑がいない、長友佑都がいない――。
勝てば自動的にブラジルW杯出場が決まるヨルダン戦(3月26日、アンマン)のメンバー発表会見。ケガの回復が遅れ、間に合うかどうか注目されていた2人の名前は結局リストには入らなかった。主力の2人が欠けるだけにアルベルト・ザッケローニも「当然、痛手ではある」と強調。しかしながら淡々とした表情で「代わりに入る選手をうまく使っていきたい」と言葉を続けた。
「個人的にはポジティブに考えている。選手たちが作ってくれているチームの雰囲気を見ると、今回もやってくれるのではないかと期待している」
そう、指揮官の胸にあるのは「不安」ではない。
本田、長友の不在は相当なインパクトだ。チームにとってマイナス材料であることは言うまでもない。とはいえザッケローニの言う期待感は筆者も理解できる。強がりでも何でもないことを。
サイドバックであれば酒井高徳の台頭もあるし、2列目であればレギュラーをつかみつつある清武弘嗣の成長もある。チームの底上げに手ごたえがあるからこそのポジティブな発言なのだ。ただその期待感の根源にあるのは、やはり2日のノリッチ戦でハットトリックを挙げ、マンチェスター・ユナイテッドで評価を上げている香川真司の存在ではないだろうか。
昨年6月から最終予選でプレーの無い香川に、名誉挽回の絶好機が!
このW杯アジア地区最終予選で主役を張ってきたのは香川ではない。本田である。
本田は、昨年の6月3連戦で4ゴール2アシストという活躍を見せ、チームのスタートダッシュに大いに貢献した。勝負強さとその存在感は、圧倒的というほかなかった。イラク戦、アウェーのオマーン戦では個人的な結果こそ出なかったが、チームの勝利のために体を張ってファイトしてきたのは誰もが知るところだ。
一方の香川は、こと最終予選に限ると“準主役”にも至っていない。
初戦のオマーン戦で1アシスト、そして続くヨルダン戦では1ゴールを挙げてはいる。とはいえ9月のホームでのイラク戦は腰痛で試合を欠場し、直近のアウェー、オマーン戦もケガで招集されなかった。つまり6月の3連戦以降は最終予選の舞台を踏んでいない。背番号「10」を背負う者として十分な働きではないことを、誰よりも香川自身が分かっているに違いない。
本田、長友のいないチームの危機ではある。ただ香川にとっては一気に名誉挽回できるまたとないチャンスにもなるということ。この一戦に懸ける意気込みは、語るまでもないだろう。
その香川だが、注目はどこで起用されるか、だ。