MLB東奔西走BACK NUMBER
選手の気分は「WBC≒オープン戦」!?
米国はいつになれば本気を出すのか。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byMLB Photos via Getty Images
posted2013/03/08 10:45
3月6日に行なわれたコロラド・ロッキーズとの練習試合前の“Team USA”。野球宗主国としての意地を、3度目の正直で見せてくれるのか?
選手たちのモチベーションも「シーズン開幕>WBC」。
トーリ監督が主張する選手たちの高いモチベーションというのも、明らかに日本人選手の比ではない。
アメリカ代表を含め他国の代表チームの選手たちがキャンプ中に体調を崩し出場辞退が続出したように、アメリカ代表の選手らの現時点で最大の目標はシーズン開幕に照準を合わせることのようだ。ゆえに、WBCのために無理をするはずもないわけで、右肩に違和感を訴えた前田健太投手や右ヒザ痛を抱える阿部慎之助選手が代表チームに残るようなことは、アメリカ代表チームでは絶対に起こりえないと断言していい(選手ばかりか代表チームの首脳陣達も、所属チームに気を遣ってすぐにチーム離脱させるのも日本とはかなり違う)。
この実情を知れば、日本で報じられているアメリカ代表の“本気”“やる気”がどれだけ不確かなものかが理解できるだろう。日本メディアの脚色されたフィルターを通すことなく、直にアメリカ代表を見ている地元ファンの反応は相当に冷ややかだ。ホワイトソックスとの練習試合の観客数は4771人(しかも大半はホワイトソックス・ファンだった)で、その前日に行なわれたジャイアンツ対ホワイトソックス戦の5486人を下回る低調ぶりだ。さらにメディアの関心も低いようで、初練習の時はTVカメラも含め相当集まったようだが、試合後のトーリ監督の囲み会見にはTVカメラは1台(しかも日本のTV局)だけで、記者も日本人4人を含む14人だけだった。
過去2回の大会から上積みゼロだったアメリカの本気度。
6日に行なわれた最終調整の場となるロッキーズとの練習試合では18安打7点と打線が爆発したように見えるが、失点を喫した投手3人は実績不足のメジャー投手ばかり。主戦クラスの投手を攻略したわけではない。しかもこの日も3失策を記録するなど守備でも不安を残した。
どんなチームスポーツでも試合を重ねるごとに強くなっていくのがチームだ。アメリカ代表にしても1次ラウンドを戦いながら素晴らしいチームに変貌する可能性はあるだろう。だが現時点での選手たちのモチベーションやチームの完成度は日本代表とは雲泥の差がある。結局のところアメリカ代表の根本的な姿勢は過去の大会と何も変わっていないということなのだ。