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「気持ちを見せろ!」
中山雅史がJリーグに残したもの。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/02/14 10:30
中山雅史、現役最後の試合となった2012年11月24日、第33節の対横浜F・マリノス戦。試合は0-2で負けている。
不器用どころか「実はかなり万能型のFWだった」。
ゴールを量産できた理由については、それぞれが異口同音に「動きの質の高さ」を挙げた。
特にいくつものゴールを積み重ねたジュビロの黄金期について、一般的には「優秀なチームメートに取らせてもらったゴールも多い」との解釈もなくはない。自らも「下手だ」と断言する中山の言葉を聞けばなおさらそう勘違いしてしまいがちだが、それについては名波が即座に「いや、そうじゃない」と否定した。
「ゴンちゃんは本当に気が利くFWだから、コンビを組む相手に合わせて違う動きをすることができる。だから、決して自分のゴールに直結する動きばかりしてるわけじゃない。なのに毎年15点以上も取るんだからすごいよ」
藤田が続ける。
「何だかんだ言って、実はかなり万能型のFWだったんだよね」
パスの流れを読んでDFの背後に消える。そこから急激にスピードアップして相手の急所に飛び込む。コンビを組む“相方”のほうがゴールの可能性が高ければ、それをさらに高めるための動きを選択する。そうした動きの質の高さは、40歳を過ぎて加入した札幌でも健在だった。河合も榊も、そこに中山のFWとしての資質を見た。
「まずはゴンさんの技術の高さに驚きました」
昨季、昇格1年目のルーキーにして2得点を記録した札幌の榊が言う。
「初めて一緒にプレーした時、まずはゴンさんの技術の高さに驚きました。ダイレクトではたくプレーは、ボールを落とす場所も質もすごい。それから、ボールを受ける時に一度DFを引き付けて中に入る動き。一度相手の視界から消えて、常にフリーの状態を作る。FWにとって、DFを剥がすプレーって大事ですよね。自分は足下で受けるのが苦手だったんですけど、そういうところを教えてもらいました。点を取れたのも、それがあったからだと思います」
7人の話を聞いて特に印象的だったのが、中山のもう1つの実像である「キャプテンシーなきリーダーシップ」だった。