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「気持ちを見せろ!」
中山雅史がJリーグに残したもの。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/02/14 10:30
中山雅史、現役最後の試合となった2012年11月24日、第33節の対横浜F・マリノス戦。試合は0-2で負けている。
「じゃあ、最後にゴン」って(笑)。
藤田と名波、福西の3人の座談会で中山の「キャプテンシー」というテーマを投げると、こんな会話が繰り広げられた。
名波 いや、キャプテンと言っても自ら発言するキャプテンじゃないからね。もちろん王様タイプでもない。
藤田 というか、むしろキャプテンシーはそんなにないんじゃない?
福西 確かに。存在感と背中で語るタイプだからね。
名波 でも、人前に立った時の輝きは抜群なわけじゃん。
藤田 だからキャプテンっぽく見えるんだよ。あの頃のジュビロなら、どちらかと言うとハット(服部年宏)のほうがそれっぽいもん。
福西 確かに。中山さんは最後に締める感じだからね。
藤田 そう、完全に“締め”だね。ミーティングでもキャプテンが何か言った後に、「じゃあ、最後にゴン」って(笑)。
福西 それでなぜか、「さあ行こうぜ!」ってなる。だって、中山さんの普段の姿を見て何も感じない選手はいないでしょ。
名波 だから厳密には、キャプテンシーっていうのとはちょっと違うのかもしれないな。
自分の可能性を突き詰める姿勢は、いつもチームで一番だった。
中山は、常にチームにおけるリーダーとしての“立場”を考えて先頭を走っていたわけではない。極端に言えば、自分の持てる力をすべて出し尽くしただけのことだ。その結果がいつも“チームで1番”だったから、必然的に先頭に押し出された。人前に立つことを求められればその役割も果たしたが、それを目的として“1番”になっていたわけではない。
中山が常に“1番”だったのは、自分の可能性を突き詰める姿勢だった。
石崎は指揮官として、その姿勢が若いチームに大きな影響を及ぼしたことを感じている。
「ゴンちゃんが加入して2年目のグアムキャンプだったかな。ゴンちゃん、トライアスロンを始めたんだよね。プールでめいっぱい泳いで、汗だくで自転車を漕いで、最後に走ったのかな。グアムのランニングコースはとんでもなく大きいし、坂もたくさんある。あれはすごかったですよ。ホントにすごかった。ゴンちゃんのそういう姿を、若い選手も見てるからね。影響力という意味では、ものすごく大きかったと思う」
河合に聞いた。自分の可能性を突き詰める中山に、もし、札幌というチームが与えたものがあったとすれば何か。
「与えたもの。そうですね。フレッシュさ……かもしれませんね。中山さんも僕も、若い選手の能力にはいつも驚いていたし、中山さんも彼らの才能に可能性を感じて、刺激を受けていたと思います。自分よりいくつも年下の選手に負けたくない。そういう気持ちが、中山さんの気持ちや力になっていた気がします」