サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「ポスト遠藤」と日本サッカーの未来。
“最後の黄金世代”を越えて行け!
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/12/17 14:25
代表における“最後の黄金世代”の遠藤。ガンバ大阪がJ2落ちしたことにより、32歳の身体にかかる負担はさらに増すこととなったが……。
今や、黄金世代で日の丸を背負うのは遠藤、ただ一人。
以後の日本サッカー界は、“チーム”としての黄金世代に中田英寿という強烈な“個”を加えて再び成長曲線を描いた。
'02年日韓W杯で見せた快進撃、'06年ドイツW杯で味わった想定外の惨敗においても、ピッチの中心には必ず黄金世代の姿があった。
しかし、彼らは'99年にナイジェリアで演じた奇跡を、再び見せることはなかった。小野も高原も稲本も中田に続いて海の向こうに活躍の舞台を求めたが、あのとき見せた輝きを“個”として示すことはできていない。
もちろん、メンバーの多くが33歳になった今もなおピッチに立ち続けていることは、彼らの才能が突出していたことの証明でもある。しかし、日本代表というフィールドにおいてはいつしか世代交代の時が訪れ、本田圭佑や香川真司、長友佑都といった“新世代”の前で彼らの存在感は次第に希薄になっていった。
今や、日の丸を背負うのは遠藤保仁、ただ一人しかいない。
2列目にひしめくタレントを“使う側”は、いまだ世代交代せず。
現代表において「替えが利かない」と称される絶対的な司令塔の遠藤は、日本サッカー界の最前線に身を置く黄金世代のラストピースである。
しかしその時代も、ついに最終局面に到達しようとしている。
わずかなタッチ数で攻撃の流れを作り出すセンス、ゲームをコントロールする駆け引き、ピッチ上で“考える時間”を作ろうとするキープ力、パスやランニングでメッセージを発信する存在感、さらにはいくつもの大舞台をくぐり抜けてきた経験において、遠藤の右に出るものは今の日本代表にいない。優秀なパスの“受け手”が数多くいる中で、“出し手”としての遠藤の価値は計り知れない。しかし、その依存度の高さは、34歳でブラジルW杯を迎える遠藤にとって負担が大きすぎる。いや、遠藤個人の問題よりむしろ、現時点における選手層はあまりにも薄い。
アルベルト・ザッケローニ率いる現在の日本代表には、世界の舞台で活躍するタレントが数多く存在する。
メンバー表の所属クラブ欄にマンチェスター・ユナイテッドやインテルといった世界的なビッグクラブの名前が並ぶことは、一昔前は想像すらできなかった。そうした意味においては、彼らは間違いなく、“個”としての評価でかつての黄金世代を大きく上回ったと言えるだろう。
ただし、2列目にひしめくタレントの多くが、誰かに“使われる”ことで初めて真価を発揮する選手であることを忘れてはならない。彼らを“使う側”に立っているのが遠藤であることは、“黄金世代以後”の日本サッカー界の成長を示す指針でもあるが、一方で停滞を物語ってもいる。