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WBC3連覇阻止を目論む米韓の実態。
辞退者続出の侍ジャパンはどうなる!?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKoji Asakura
posted2012/11/12 10:30
バック・マルティネス、デーブ・ジョンソンの次にアメリカ代表監督に就任したジョー・トーリ。ワールドシリーズ優勝4回(ヤンキース時代。うち3回は連覇)、リーグ優勝6回、最優秀監督賞2回という、まぎれもない名将である。
予想はされていたことだが……WBCの侍ジャパンのメンバー編成に不安が増してきた。
11月8日までの段階で、ダルビッシュ有と川崎宗則が出場辞退を発表した。それぞれ事情は違うものの、前回大会を経験しているふたりの不参加は残念だ。この流れでいくと、日本人メジャーリーガーの出場は期待できそうもない。
怖いのは、「ベストメンバーを編成できなかったじゃないか」という乾いたムードに覆われてしまうことだ。今回のWBCは、「侍ジャパン」にとって3連覇とともに、商業的な成功も必要とされる大会だ。看板選手が出ないとなると、マーケティング的に痛手なのは間違いない。
きっと、第2回大会に出場した選手たちにとっては、激闘を勝ちぬいた満足感が強いのだと思う。しかもメジャーという厳しい環境に身を置きながら、3月の中旬まで日本でプレーするのは現実的とは思えないのだろう。第2ラウンドまで、日本で行われることのマイナス面が出てしまった気がする。
それならば発想を変えて、新しい世代での代表作りを進めた方がいいのではないか。
まだWBCに参加していない選手たちならば、モチベーションは高いはずだ。
投手では前田健太、吉川光夫、打者では中田翔、坂本勇人といった選手たちならば、イキのいい日本の野球を見せてくれるのではないか。
ベストのメンバー編成ができないと分かったのだから、なんらかの「コンセプト」を持ってチームを作っていくべきだと思う。
過去2回ともにベストメンバーを組めていないアメリカ代表。
日本では暗雲が漂い始めたが、準決勝、決勝のホスト国アメリカや、WBCに対して「超」前向きな韓国はどうなっているのか。
アメリカの場合、過去2回はベストメンバーが組めない状況にあり、不甲斐ない結果に終わっている。
第1回大会のとき、アメリカの代表選手が宿泊しているホテルで取材をしていると、ある選手が通りかかったのだが、シーズン中とは違って明らかに体重が増えすぎていた。万全の準備をして臨む大会ではないのだ。