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「悔いはない」と退団した、
73歳、権藤博の“性分”。
~中日でも起きた指揮官との衝突~
text by
永谷脩Osamu Nagatani
photograph byNaoya Sanuki
posted2012/11/10 08:00
投手王国を支えた権藤は退任に際して、「悔いはない。選手はよく戦ってくれた」と語った。
球界からまたひとつ、名物が消えた。
中日はクライマックスシリーズのファイナルステージで3連勝するも、3連敗を喫し敗退。その責任を取らされる形で、権藤博投手コーチが解任された。
今季、権藤コーチと高木守道監督は、投手起用をめぐって衝突を繰り返してきた。おそらく、その亀裂が決定的になったのはファイナルステージ第5戦、2-2の同点で迎えた9回だった。イニングの頭から登板した岩瀬仁紀が、2安打と1四球で満塁とされた場面で、監督は三振の取れる浅尾拓也を熱望したが、権藤コーチは、山井大介の投入を進言した。結果は山井が、代打・石井義人に打たれてサヨナラ負け。怒り心頭の高木監督は「あとはピッチングコーチに聞いてくれ」という捨て台詞をはいた。シーズン中、権藤はこんなことを言っていた。