フットサル日本代表PRESSBACK NUMBER
フットサルW杯に向けて視界は良好!
チームメイトが語る、カズの“初陣”。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2012/10/25 11:35
10代の一時期を過ごしたブラジルの国歌と君が代の両方を聞くことになったカズ。「ジーンと来ました。両方とも幸せな時間でした」とコメントした。
フットサル日本代表のキング・カズが、ついにベールを脱いだ。10月24日、国立代々木競技場第一体育館。11月1日に開幕するフットサルW杯に向けてのブラジルとのテストマッチで、国際Aマッチデビューを飾ったのである。
背番号11のユニホームに袖を通し、チームの最後に入場する。左胸に右手を添えて、君が代を歌う。集合写真では後列右端で腕を組む。サッカー日本代表当時と同じ試合前の儀式も、少しばかり特別な感情を呼び覚ました。
「お客さんが入って雰囲気が良かったし、国歌はジンと来ましたね。幸せを感じる時間でした」
もちろん、感慨はすぐに闘志へと変わる。20分ハーフのカウントダウン掲示の時計が16分を過ぎたところで、カズはコートへ飛び出す。観声が沸き上がり、カズのプレーがさらなる興奮を呼ぶ。左サイドをワンツーで抜け出し、角度のないところから強烈なシュートを浴びせたのだ。
代表合宿で見せたぎこちなさが消えていたブラジル戦。
代表のトレーニングキャンプに初参加した9月下旬のカズは、ぎこちなさを感じさせていた。動き出しが遅れがちで、パスワークに加われない。精力的にコートを駆け巡るものの、なかなかボールに触れずにいた。頭で動きを確認するわずかな間が、身体の反応を遅らせていた。
この日は、違った。
チーム最年長の45歳は、ゲームの流れにスムーズに溶け込んでいった。ディフェンスの対応がやや遅れるシーンはあったものの、前半に2度、後半に1度の途中出場で、確かな進歩を感じさせた。「こういうチャレンジができるのは彼しかいないという、インテリジェンスと吸収力を見せてくれている」というミゲル・ロドリゴ監督の言葉が、メディア向けのリップサービスではないことをプレーで示したのである。
3度のトレーニングキャンプを通じて構築されてきたチームメイトとの信頼関係も、ブラジル戦を経てさらに深まっている。