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若き投手陣を背中で引っ張って――。
日ハム“最強の2番手”武田勝の誇り。 

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加藤弘士

加藤弘士Hiroshi Kato

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photograph byHideki Sugiyama

posted2012/10/09 12:50

若き投手陣を背中で引っ張って――。日ハム“最強の2番手”武田勝の誇り。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

10月8日現在、武田勝の成績は11勝7敗、防御率2.39。開幕投手の座は斎藤佑樹に譲ったが、抜群の安定感に栗山監督からの信頼は厚い。

7月、不振で二軍落ちした斎藤佑樹に電話でかけた言葉。

 しかし、真相は違った。一気に若返った投手陣の精神的支柱となったのは、背番号38だった。

 セットアッパーの増井浩俊は感謝する。

「元々マイペースな方なんですが、今季は投手陣をまとめてくれたと思います。連敗が続いたり、中継ぎが失敗したりした時には、さり気なく声をかけてくれるんです。『力を合わせて、頑張っていこう』って。だから、いい雰囲気で投手陣は今年、やれたと思います」

 7月下旬、不振で二軍落ちした斎藤佑樹にも、武田勝は真っ先に電話を入れていた。

「面白くないから、早く帰って来いよ」

 その言葉に、斎藤はこう感じたと言う。

「涙が出て来ました。マサルさんのような先輩がいて、本当に良かった」

 実績のない若手がのびのびと力を発揮できるよう、雰囲気作りに努めた。その結果、投手陣はこれまでにない一体感が生まれた。自身は登板日に合わせて地道に準備し、攻める気持ちで打者に向かい、当たり前のように4年連続2ケタ勝利をマークした。

180回を超えた登板イニングが物語るチームへの「貢献度」。

 それでも武田勝本人は、あくまで謙虚なままだ。

「若手が1試合1試合、成長してくれて、僕はそれに乗せられた感じ。一緒にやれて、いい刺激になったし、パワーをもらえた。ホント、助けてもらったシーズンでした」

 だが、数字は雄弁だ。シーズンを通じて先発ローテを離脱することなく守り抜いたサウスポーは、プロ7年目で初めて登板イニングが180回を超えた。ファイターズではもちろんトップで、パ・リーグではほかにソフトバンク・攝津正、西武・岸孝之、ロッテ・成瀬善久しかいない。武田勝が今季、コツコツと積み重ねたチームへの「貢献度」の高さを物語っている。

「監督が中6日で、大事に使ってくれたおかげです。でも、年齢を感じながらも『ああ、できるんだな』と自信になったところもあります。その辺だけでも、先頭を切れたというのがあるかな。1年間ローテを守れたので、少しでも貢献できたといいますか…」

【次ページ】 「永遠の2番手」ではなく「最強の2番手」へ。

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