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ディマッテオの下、ランパードも変身!
新生チェルシーを支える「学習能力」。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2012/09/13 10:30

ディマッテオの下、ランパードも変身!新生チェルシーを支える「学習能力」。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

9月に入り、ボランチを務めていたラウル・メイレレスがトルコのフェネルバフチェに移籍。ランパードの役割はより重要になった。

 開幕早々、チェルシーに裏切られた。そう思っているファンは、少なくないのではないだろうか? かくいう筆者も、その1人。但し、良い意味での話である。

 奇跡に等しいCL優勝の余韻も薄れたこの夏、プレミアリーグで昨季6位のチェルシーに対しては、不安が期待を上回っていた。マンチェスターの両雄と国内タイトルを争うには、昨季の25ポイント差を埋めなければならない。両軍には、得点数でも20点台の差をつけられた。しかし、メディアでは、ディディエ・ドログバが抜けた最前線の穴が指摘され続けた。チームには、7月の時点で、エデン・アザール、オスカル、マルコ・マリンが加わっていたが、合計約80億円の2列目の買い物は、揃って20代前半の若さ。実力発揮には時間が必要と思われた。

 ところが、いざ開幕してみると、チェルシーは8月のリーグ戦3試合に全勝し、首位で9月を迎えた。この時期の順位にあまり意味はないが、合計8得点を含むパフォーマンスは、「新生チェルシー」すら予感させた。嬉しい誤算の要因を一言で言えば、「学習能力」。その代表例は、欧州でも屈指の中盤の得点源でありながら、ダブルボランチの一角にフィットしつつある、フランク・ランパードだ。

ボールを支配して攻めるチームの中で、ランパードの役割は?

 ポジションそのものは、今季の変化ではない。昨季も、終盤に基本システムとなった4-2-3-1の「2」が、ベテランMFの持ち場だった。だが、それは、守りに守ってのCL優勝など、事実上の4-5-1で全員が守備を重視していたチームでのこと。その点、今季は、ボールを支配して攻める姿勢を見せるチームにあっても、低い位置を保つことを意識している。

 例えば、今季初のホームゲームとなった第2節レディング戦(4-2)。立ち上がりから攻勢に出たチェルシーは、18分、アザールが奪ったPKをランパードが決めて先制した。ゴールの起点も、ハーフウェイライン付近で、中央でコンビを組むジョン・オビ・ミケルにボールを預けたランパードだった。縦に蹴り出し、自身が駆け上がろうとしても不思議ではなかった。逆転されて迎えた後半、60分過ぎにオスカルがゴールを狙って反撃の狼煙を上げる過程でも、自陣内でフィードを受けたランパードは、数メートル上がっただけで、無理せずアザールにつないでいる。

 いずれも、アンドレ・ビラスボアス(現トッテナム)の監督就任でチーム改革が予想された昨夏、「ボランチでもいい。『ハーフウェイラインを超えるな!』とでも言われなければね(笑)」と、冗談ながらに攻撃的MFとしてのプライドを窺わせた姿とは、一線を画すものだった。

【次ページ】 12年目となるランパードは、残留を望んでいるが……。

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