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またしても勃発した味スタの芝問題。
J1のスタジアムとしてこれで良いの?
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byAFLO
posted2012/09/01 08:01
試合前には凱旋した五輪代表組のセレモニーが行なわれたが、足元はデコボコ。このピッチでは、グラウンダーのパスで組み立てるサッカーは不可能だろう。
J1の晴れ舞台は一面緑の美しいピッチがふさわしい。
もちろん、ピッチコンディションの問題の背景には多くの事情がある。
管理費用の問題、日照時間や風通しなどを含む環境の問題、そして、コンディションを維持する技術的な問題はもちろん、スタジアムがクラブの所有物でなければ、イベントなどの営業活動を制限できるはずもない。ヨーロッパでは近年、スタジアムをクラブが所有しようとする動きが多く見られているが、莫大な資金のメドが立たなければ実現は難しい。
とはいえ、プロサッカーの頂点であるJ1の舞台が先日の味の素スタジアムのようなコンディションで行なわれることについては当然ながら賛同しかねる。前述の職人さんの言葉を耳にすればなおさらだ。
「最も気にしているのは、選手がピッチコンディションのせいでケガをしてはならないということ。それから、ビジターとして来てくれる相手チームに対して申し訳ない芝というか、恥ずかしい芝は作りたくない。たとえ同じ条件で試合をやるとはいえ、やっぱりプロの選手には最高のコンディションで試合をやってもらわないと。そしたらお客さんも喜んでくれるし、また来てくれるでしょ」
ピッチコンディションはゲームの結果はもちろん、クラブの人気すら左右しかねない重要な要素となりつつある。特にこれまで何度も抗議してきたFC東京にとって、この問題は早急に解決すべき非常に重要な事案の一つと言えるだろう。あの職人さんが言うように、これは“当事者”だけの問題ではないのだから。