なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
なでしこ、フランスを破り初の決勝へ。
聖地を包んだ「ニッポン!」コール。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byNoriko Hayakusa/JMPA
posted2012/08/07 11:45
息つく暇もないほどのフランスの猛攻に耐えきったなでしこ守備陣。なかでも、GK福元は再三にわたるファインセーブで日本の勝利に貢献した。
試合終了を告げる長い笛が鳴ると、サブメンバーがピッチにどっとなだれ込んだ。
誰彼なく抱き合って分かち合うのは、フランスとの激戦を制した喜び。初の決勝進出の興奮。そして、初めてのメダルを確定させた感動だ。
なでしこジャパンが聖地ウェンブリーでの準決勝でフランスに2-1と競り勝ち、悲願のメダル獲得を決めた。
親善試合で完敗したフランスに対し、“様子見”の時間帯が続く。
日本は3日にカーディフで行われた準々決勝ブラジル戦(2-0で勝利)と同じ11人が先発。大儀見優季、大野忍を2トップとする4-4-2の布陣で臨んだ。
対するフランスは1トップにデリ、トップ下にネシブを配置する4-2-3-1の布陣。日本は大会直前の7月19日にパリで行ったフランスとの親善試合で0-2の完敗を喫していることもあり、立ち上がりは様子見の時間帯が続く。
日本が攻めあぐねている間、フランスは1トップのデリに積極的にボールを入れ、日本陣内に迫っていく。だが日本は、ここまで4試合1失点の鉄壁守備陣が危ないシーンを作らせない。
泥臭い大儀見のゴールと、阪口の鮮やかなヘディングで2得点。
日本が先制したのは前半32分。ハーフウェーラインを少し越えたあたり、ゴールから約40メートルほどの遠い位置からのFKを宮間あやが蹴ると、ボールはゴール前へ。すると、相手GKブアディがファンブルし、ボールを後ろにこぼしてしまう。すかさず詰めた大儀見が左足で泥臭く押し込んでゴール。日本が見事に先制した。
日本はその後、1点を返しに来るフランスの前にやや受け身になったが、守備陣が粘り強く対応し、1-0で前半を折り返した。
すると、後半開始早々に追加点のチャンスが訪れる。後半4分、またしてもFKの場面で宮間がボールを蹴ると、今度は後方から走り込んだ阪口夢穂が頭で合わせた。
最初の失点が自らのミスによるものだったということで、フランスGKはあまりに慎重だった。ボールに向かって飛び出す気配もなく、ゴール前から動けなかった。阪口のヘディングは鮮やかにネットを揺らし、日本は2-0とリードを広げた。