なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
メダルにかけるなでしこの執念を見よ!
個も組織も優れたフランスの弱点は?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNoriko Hayakusa/JMPA
posted2012/08/06 11:55
期待されたW杯では1得点に終わっている大儀見。五輪ではブラジル戦で値千金のゴールを決めた。大会直前に完敗したフランスにリベンジを誓う!
なでしこにとって、準決勝のフランス戦は決勝にも等しい最大のヤマになる。
本大会直前の親善試合では0-2で敗れ、「手も足も出なかった」と宮間あやが語るように、パスワーク、フィジカル、運動量、決定力、すべてフランスが上回り、なでしこがW杯優勝以来、保持していた自信を木っ端微塵に打ち砕いた。
この敗戦の衝撃は大きかったが、なでしこにとってはこの一戦で世界での自分たちの立ち位置が明確になり、もはや世界王者として主導権を握って戦うことは不可能だと判断できたともいえる。結果、ロンドン五輪ではアグレッシブなパスサッカーに固執しなくなった。
スタイルよりも冷静に結果を求め、南アフリカ戦では引き分けを狙いにいき、フランス戦を回避するなど、メダルを獲得する可能性を少しでも高める戦略的な戦いをしてきたのだ。
苦戦した準々決勝のブラジル戦も、その一環であったと言える。相手を圧倒する格好のいい勝ち方ではないが、とにかく勝ち上がって次のステージに駒を進める。その執念ともいえる気持ちが試合に出て、準決勝進出を決めた。
情報収集と分析で、どれくらいフランスを追いつめられるか?
そして、フランス戦である。
ほんの数週間前に戦った相手との実力的な差は、そう簡単に埋まるものではない。
ただ、澤穂希が「いい意味であそこで敗れてよかった。相手の特徴も分かっているし、みんなが反省する状況も作れた」と言うように、相手の強さを肌で感じ、様々な情報を得られたのは大きかった。
グループリーグでの戦いでもフランスの情報を得ており、相手のウィークポイントも含め大会直前の親善試合よりも多くのことを知った上でフランス戦に挑める。フィジカル的な強さがない日本にとって、その情報は大きな力になるだろう。
フランスの攻撃の起点になっているのは、MFネシブ。
パス能力が非常に高く、自らも積極的に前に飛び出していく。自由にしておくとやっかいな選手なので、ボランチの澤、阪口に加え、サイドバックがしっかり見ておく必要がある。