フランスは個人も組織も優れ、特にセットプレーが怖い。

　攻撃する側からすると、DFルナールは非常に面倒な選手だ。

　足が長く、フィジカルも強い。大儀見優季が「非常に強いDF。何もさせてもらえなかったDFは、久々です」というほどだ。その高さを活かしたヘディングも強力で、親善試合では強烈な一撃を決められた。準々決勝のスウェーデン戦でもCKからGKが弾いたボールをヘディングで押し込んでいる。

　チームとしては、セットプレーが大きな武器になっている。

　スウェーデン戦では2得点ともにセットプレーからだった。ただ、フランスの最大の特徴は高い個人技を前面に押し出すだけではなく、グループとしても機能しているということだ。

フランスより遥かに上回る、なでしこの“メダルへの執念”。

　そうなると勝ち目がないように見えるが、グループとして連動したプレーは90分間、継続しない。ムラがあるし、後半、運動量が落ちてくる。チェックが甘くなったところで、うまく隙をついて、攻撃したい。

　その攻撃では、大儀見が好調なのが頼もしい。

　ポストプレーも安定しており、ブラジル戦の1点目のように、FKからの素早いリスタートにすぐさま対応するなど機転も利く。彼女が前線にいることで、なでしこの攻撃はなんとか形を保つことが出来ている。彼女にボールが入った時、大野忍、川澄奈穂美ら周囲の選手がサポートを早くし、連係して打開していく。フランスの守備網を破るには、これを愚直に繰り返すしかないだろう。

　勝敗の趨勢を決めるのは、何になるのか。　

　フランス以上になでしこにあるのは、メダルへの執念だ。

　言い換えれば、勝利のために割り切って戦うという潔さだ。「（南アフリカ戦で）すべてを背負ってくれたノリさんの思いをムダにしたくなかった」と、ブラジル戦後、宮間は言ったが、メダルへの思い、この1点で、なでしこは一体になっている。

　だから、戦術的にもブレがない。

　それは、ブラジル戦からも見て取れた。

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