ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
エジプト戦完勝で、メダルが見えた!
全ての課題をクリアした関塚ジャパン。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2012/08/05 12:00
追加点を決めた吉田が、渾身のゴールパフォーマンス! お笑いコンビ「タカアンドトシ」と約束していたという“俺だ俺だ俺だ俺だ”のギャグ。
歴史の壁とは、かくもあっさりと押し破られるものなのだろうか。準々決勝で日本はエジプトを3-0で破り、メキシコ五輪以来44年ぶりにベスト4へと進出したのである。
試合後の選手の表情は、一様にホッとしていた。
今大会自身初のゴールを決めた吉田麻也も「ベスト4は準備はしていたけど、イメージはしていなかった」と、苦笑しながら喜びを噛み締めていた。先制ゴールを決めた永井謙佑も「嬉しいっすねぇ」と終始にこやかだった。それも「最高のゲームが出来て、しっかり勝てた」(東慶悟)からであろう。
エジプト戦を迎えるに当たり、チームは2つの懸念を抱えていた。3試合2得点という数字が示すように先制後、追加点が奪えないという得点力不足。そして、サブメンバーの調子が上がらないことだった。だが、この日の日本は、それが杞憂だったことを結果で証明してくれた。
世界に誇る、日本最大の武器“ナガイ・アタック”!!
前半14分の先制ゴールは、清武弘嗣-永井謙佑のホットラインから生まれた素晴らしい一撃だった。一度、ボールを奪われた清武が諦めずにボールを追い、奪い返すとすぐに前線にきれいな弧を描いたパスを出した。それを永井が受け、決めたのだ。
モロッコ戦も同じような型でゴールが生まれたが、この“ナガイ・アタック”は、日本の最高かつ最大の武器になっている。この日も見事な決定力でゴールを決め、エジプトに焦りとショックを与えた。
永井はこのゴールの後、太ももの打撲で交代を余儀なくされ、代わりに入ったのが齋藤学だった。ホンジュラス戦では動きにキレがなく今ひとつだったが、エジプト戦では見せてくれた。
それが、前半41分のプレーだった。東からのパスを受け、そのまま縦に突破しようとした瞬間、相手センターバックに倒された。
決定機を潰したと判断され、DFサード・サミルは一発退場。それまで齋藤は、幾度となく縦に抜ける動きを見せていたが、この時は「ゴール以上に大きかった」(吉田麻也)という仕事をしたのである。