W杯紀行 思えば南アへ来たもんだBACK NUMBER
南アW杯の現地から緊急レポート!!
スタジアムは? チケットは? 危険は?
text by
竹田聡一郎Soichiro Takeda
photograph bySoichiro Takeda
posted2010/05/20 12:10
スタジアムそのものは工事がほぼ終わっているが、その周囲は……本当に間に合うのだろうか?
とりあえず、夜の街に繰り出してみると……。
少しケープタウンに慣れた頃、恐る恐るながらも夜遊びに繰り出してみることにした。
夜の繁華街はネオンが輝き、打楽器中心のリズム系のアフリカ音楽で満ちていた。
薄暗いバーには、薄着で厚塗りの黒人女性や白人女性が体をくねらせ沢山踊っている。酔っぱらって足腰弱くなっちゃってる若者も歌舞伎町と同じようにストリートには存在した。それを苦笑いで見守るセキュリティも。道端にホットドッグの屋台が出ていて、それに列ができたりしている。歩道の陰から物乞いに手を差し伸べられることもあったが、危険を感じることは一度もなかった。
もちろんスリや強盗に遭う可能性だってあるだろう。でもそれはドイツだって、ソウルだって、東京だって起こることだと思う。少なくとも僕が出会った人々はみな親切で、丁寧にバスの乗り方や目的地までの道順、危険な時間帯やエリアを教えてくれた。
「ケープタウンはベストの街。でも“ジョバーグ”だけは別ね」
誰もが懸念しているようにここ数回のワールドカップと比べると治安は決して良いとは言えない。それはまぎれもない事実で、我々にはより一層の注意と警戒が必要なんだと思う。でも南アに実際に来てみて得られたのは、これくらいの不安なら4年に一度のワールドカップの魅力を天秤にかけると、後者が重いのでは、という実感だった。
インフラの未整備やチケット売り上げの不安はやっぱり残っているわけだけど、それでも徐々に開幕に向かっている兆候は街のあちこちに見てとれる。マクドナルドはコンボを購入した客に無料でW杯記念のグラスを配り、VISAカードやコカ・コーラはいたるところに開幕までのカウントダウンのサインを出している。テレビはサッカーの特番をこぞって組み、新聞は連日“バファナ・バファナ(南ア代表の愛称。「少年」の意)”の動向を報じる。スポーツショップには各国のデザインをほどこした色とりどりのブブゼラが並び、代表チームのシャツを誇らしげに着る人々も日々増えている。いつものワールドカップと変わらない華やかで楽しい景色も、きっともうすぐ確認できるはずだ!
そういった話を、おばちゃんタクシードライバーのアリーさんにすると、煙草をふかしながら、
「イエス。特にケープタウンはベストよ。W杯は成功するわ。日本人にそう伝えて。ただ、“ジョバーグ”は別だけどね(笑)。あそこはワーストね。え、来週行くの? 本当に? グッドラック」
と言われてしまった。
ということで次回は“クライム・エキスポ”“都市型サファリパーク”“リアル北斗の拳”など悪名高い“ジョバーグ”ことヨハネスブルグから現地情報をお伝え……できればいいのだが。
5月21日金曜日の21時(日本時間)からツイッター座談会『W杯紀行 思えば南アへ来たもんだ ~現地つぶやきレポート~』を開催します!
参加するのは当コラムの筆者・竹田聡一郎氏、南アW杯を取材予定のスポーツジャーナリスト・田邊雅之氏と雑誌ナンバー編集部のW杯担当スタッフです。
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