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“澤復活”も、課題が見えた豪州戦。
なでしこが上積みすべきものとは? 

text by

矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byMiki Fukano

posted2012/07/12 12:00

“澤復活”も、課題が見えた豪州戦。なでしこが上積みすべきものとは?<Number Web> photograph by Miki Fukano

「(試合に出られない間に)若手がチャンスをもらってしっかりできるようになっていったのは、チームにとって必要なことだったと思う。自分はコンディションを戻すことだけ考えていた」と試合後の澤。キャプテンの宮間は「どのゴールよりも(澤の得点が)一番嬉しかったです。攻守にわたり澤さんらしいプレーを見せてくれた」と、大黒柱の復活に太鼓判。

 エースストライカーとしての地歩を固めつつある大儀見(旧姓永里)優季が4試合連続ゴールを決めて充実ぶりをアピールすれば、澤穂希は昨年7月の女子W杯決勝・米国戦以来、1年ぶりとなる得点を挙げて“復活”を印象づけた。

 守っては、126日ぶりになでしこジャパンに復帰した岩清水梓を始め、守備陣全員が危なげないプレーを見せて無失点。新キャプテン・宮間あやのPKによる先制点を含め、なでしこジャパンが3-0でオーストラリアを下し、国内でのロンドン五輪前最後の試合を白星で飾った。

 会場となった国立競技場には2万2048人が集まった。平日17時10分キックオフの試合とは思えないほどのスタンドの熱気が、なでしこジャパンへの期待感を物語る。そこで示した3-0という結果は、スコアや活躍した選手の顔ぶれを見ればロンドンでの金メダル獲得へ、大きく弾みのつく一戦だったと映るだろう。

 だが、実際はどうなのか。

 結論から言えば、この1試合だけで「盤石」としてしまうのは早計だ。残念ながら、今のオーストラリアのチーム状況、実力では、そこに快勝したからと言って、世界の頂点を獲りに行くチームが喜んでいるわけにはいかない。

 では、これからの時間で上積みしていかなければいけないのはどの部分なのか。

澤が中心の女子W杯優勝メンバーをベースにしたベストな布陣。

 なでしこジャパンは、いつも通り4-2-3-1のシステムで試合を開始した。

 ピッチの11人は、3月に発症した良性発作性頭位めまい症を克服した澤を中心に、昨年7月の女子W杯優勝メンバーをベースとしたベスト布陣で、平均年齢は26.5歳。対するオーストラリアは、ロンドン五輪出場を逃し、2015年女子W杯に向けて始動したばかりの若いチームで、先発の平均年齢は22.3歳だった。

 この試合に向けた準備の違いや、実力差が歴然としていることは、キックオフ直後からすぐに分かった。

【次ページ】 ショートパス、シュートのミスが続く時間帯も……。

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澤穂希
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