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“澤復活”も、課題が見えた豪州戦。
なでしこが上積みすべきものとは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byMiki Fukano
posted2012/07/12 12:00
「(試合に出られない間に)若手がチャンスをもらってしっかりできるようになっていったのは、チームにとって必要なことだったと思う。自分はコンディションを戻すことだけ考えていた」と試合後の澤。キャプテンの宮間は「どのゴールよりも(澤の得点が)一番嬉しかったです。攻守にわたり澤さんらしいプレーを見せてくれた」と、大黒柱の復活に太鼓判。
ショートパス、シュートのミスが続く時間帯も……。
そんな中で、日本は前半25分に宮間がPKを決めて先制したものの、その後は生命線であるショートパスのミスが多発し、カウンターを受けてしまう。一方で、好機に放ったシュートはことごとく枠を外れ、追加点がなかなか入らない。
じれったい流れが続いていた前半アディショナルタイム、宮間のスルーパスに抜け出した右サイドバックの近賀ゆかりが素晴らしいクロスを上げて、大儀見がスライディングシュートを放った。日本は前半11本目のシュートでようやく2点目を決めると、後半13分には左CKのチャンスから相手がクリアミスをしてもたついている間に澤がゴールを決めて3-0とした。
澤、岩清水、大儀見らの動きをしっかりチェックできた佐々木監督。
1-4と大敗した6月の米国戦で、本来のパフォーマンスとはほど遠いプレーに終始していた大黒柱が結果を出したことについて、佐々木則夫監督はホッとしたような表情を見せた。
「澤に関しては、合宿のトレーニングを見て、相手選手との間や、プレッシャーを受けた中での感覚を取り戻してきていると感じていた。今日はオーストラリアのあのくらいの(弱い)プレスの中でのプレーだったが、点を取ったのは本人にもチームにも良かった」
ゴールを挙げたことについては澤自身も安堵しており、「前半も(宮間)あやからのクロスがどこに出てくるかが分かってきた。感覚なんですけれど、徐々に分かってきた」と、自信を取り戻した様子を窺わせる。
6月のスウェーデン遠征ごろまでは「顔色がすぐれない」と周囲から心配されていたが、「皆に顔つきも良くなったと言われる」と復活の手応えを口にした。
指揮官はまた、左足首捻挫から復帰し、45分間プレーしたDFリーダーの岩清水にも「思ったより状況は悪くなかった」と合格点を与えた。そして、この1年で最も成長している大儀見については「(ポストプレーで)受けたボールを失わなければパーフェクト。今日は5本中3本は成功していたと思うが、パーフェクトにできればもっといい」と、さらに高い要求を出すことで信頼感と期待感を示した。
とはいえ、まだまだ課題が多いのは明白だ。決してハイプレスをかけてきたわけではないオーストラリアを前に、イージーなパスミスをしたり、最終ラインがビルドアップに苦慮してロングボールを蹴り上げる場面が何度か見受けられたのは、やはりまだ澤のコンディション問題を含めて、ボランチの位置に不安があることの裏付けである。