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“澤復活”も、課題が見えた豪州戦。
なでしこが上積みすべきものとは? 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byMiki Fukano

posted2012/07/12 12:00

“澤復活”も、課題が見えた豪州戦。なでしこが上積みすべきものとは?<Number Web> photograph by Miki Fukano

「(試合に出られない間に)若手がチャンスをもらってしっかりできるようになっていったのは、チームにとって必要なことだったと思う。自分はコンディションを戻すことだけ考えていた」と試合後の澤。キャプテンの宮間は「どのゴールよりも(澤の得点が)一番嬉しかったです。攻守にわたり澤さんらしいプレーを見せてくれた」と、大黒柱の復活に太鼓判。

なでしこの守備のテストにさえならない、豪州の状態。

 また、無失点に抑えたと言っても、岩清水いわく「まだ4割。まだ自分の思うようなプレーはできていない」。守備ラインには後半、矢野喬子を投入したが、米国戦で浮き彫りになったDFラインの裏のケアという課題のチェックに関しては、この日のオーストラリアの状態からすれば練習にもならなかった。

 それに加え、GKは福元美穂でいくのか、海堀あゆみに戻すのかがまだ不確定。最終ラインの不安はまだ払拭されていない。

 ただし、そのあたりは佐々木監督が最も冷静に今の状況を捉えており、「(7月19日にパリで行なわれる)フランスとの親善試合が、ロンドン五輪本番に向けての最終チェックだ」と明言している。

「フランスは世界屈指のチーム。そこでどの程度のサッカーができるかが、オリンピックのバロメーターになる。現時点では各選手がしっかりやってくれて、非常にいい状況だが、(初戦のカナダ戦までの)残り2週間で攻撃のパスの精度を上げていき、シュート精度を上げていきたい」

最後まであきらめない「なでしこ魂」を見せつけた丸山。

 本番へ向けての好材料もある。滑り込みでメンバー入りを果たした丸山桂里奈は、後半27分に大儀見と交代でピッチに立つと、果敢なチェイシングで存在感をアピールした。最後まであきらめない「なでしこ魂」で3大会連続の五輪代表入りを勝ち取った彼女のプレーに象徴されるように、なでしこジャパンに慢心はない。

 ロンドン五輪の初戦は7月25日のカナダ戦だが、必ずしもその試合にピークを持って行く必要があるわけではない。試合ごとに訪れる勝負どころでしっかりと集中しながら、2週間ある競技期間中に個々とチームのコンディションを上げていくことができれば、自ずと頂点は見えてくるはず。まずは19日のフランス戦での最終チェックに注目だ。

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