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<最強投手進化論> ノーラン・ライアンが語る「1995年のノモと2012年のダルビッシュ」
text by
エバン・グラントEvan Grant
photograph byAFLO/Yukihito Taguchi
posted2012/05/28 06:01
【写真左】オールスターのセレモニーで晴れやかな笑顔を見せた野茂。左はマット・ウイリアムス、右はクレイグ・ビジオ 【写真右】ワシントン監督に祝福されるダルビッシュ
「私やノモと同じようにノーヒットノーランを……」
我々テキサス・レンジャーズは、昨年、一昨年と2年連続ワールドシリーズに出場し、昨年はあと一歩で初の世界一の座を手にするところまで近づいた。しかし我々は、ユウにその最後のひと山を乗り越えるための選手になって欲しいとは思っていない。先発ローテーションは充実しているから、彼にはありのままの姿でチームに貢献していって欲しい。ユウにとって本当に最高のシーズンは、これからまだ先にやってくると思うからだ。
私は人とピッチングについて語り合うのが好きだ。自分がすべてのことを知るのは不可能だし、誰にでもそれぞれ違う見方があるからね。ユウとも、ピッチングについて会話を交わしたことがある。彼は豊富な知識を持っていたし、野球というゲームをよく知っていた。また、ピッチングについて学び続け、向上し続けていきたいという意欲が実に旺盛だった。こういう要素はとても重要だ。最高のピッチャーは常に上を目指していくものだが、ユウはまさにそうだ。強いハートを持った「コンペティター」(闘士)だし、これまで彼について耳にしたことや目にしたことについて、とても感心しているよ。
ユウが私やノモと同じように、ノーヒットノーランを達成できるかって? それを予言するのは正直、難しい。ただ間違いなく言えるのは、彼が素晴らしい才能を持ち合わせているということだ。
だから、こう言おうじゃないか。
「ユウがこの世界で何を成し遂げても、我々は驚いたりしない」
とね。ユウにはまだまだこれから明るい未来が開けているんだよ。