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グアルディオラは有終の美を飾るか?
最終試合はビルバオとの国王杯決勝。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byAFLO
posted2012/05/24 10:31
昨秋のアスレティック・ビルバオvs.バルセロナ戦、試合前の光景。グアルディオラは以前からビエルサを尊敬しており、「私はビエルサ監督を本当に尊敬している。彼から学ぶことは非常に多い」と語っている。
激しいプレッシングと素速いパスワークの真っ向勝負。
ビエルサ率いるビルバオは、高い位置から激しいプレッシングを仕掛け、できるだけ早くボールを奪い返すという前提でぶつかってくる。
攻撃面ではアンデル・エレーラ、デマルコス、ムニアインらを軸にショートパスと選手の連動で崩していくという、スタイル的には最もバルサに似たチームでもある。
主導権を握ろうとするチームなので、バルサにとってはCL準決勝で敗れたチェルシーのように全員で自陣に引くチームよりは与しやすいだろう。しかし後半ロスタイムにようやく追いつくことができたサン・マメスでの試合を見ても分かるように、90分間を通し全く気の抜けないものとなる。
互いに攻めの姿勢を貫くオープンな展開となることが予想されるが、やはりバルサが60~65%のポゼッションを保つことになるだろう。鍵となるのはエリア内でのチャンスをいかにものにするか。シーズン終盤、バルサがリーガとCLを1週間ほどの間に失うこととなった理由は、好機を作っても、それを決められなかった点に集約される。最大の得点源であるメッシは当然、後方から飛び込むセスクが、人には強いが時折集中力に欠くプレーを見せるCBアモレビエタの隙をつけるかもひとつの鍵になるかもしれない。
ビクトル・バルデスは言う。
「運命なのかもしれない。3年前、ペップの初めてのシーズンで初めて獲ったタイトルはこの国王杯だった。同じタイトルでこの4年間を終えることができたら、これ以上ないことだ」
国王杯とは、バルセロナにとって数多くのタイトルを獲得したグアルディオラの4年間、その出発点でもあったのだ。
ビルバオは賞賛の声だけでなく結果がほしい。
その一方で、ビルバオはビエルサと共に築き上げた自らのサッカーが正しかったことを証明するために戦う。
今季のビルバオはサッカーの内容が劇的に変わり、スペイン内外で絶賛されることになった。バルサとマドリーのように大金で選手を買い集めることをせずに、高いレベルのサッカーを見せたことに対する賞賛の声は多い。
しかし、である。EL決勝でアトレティコに敗れたことで、彼らの手には何も残ってはいない。攻撃的サッカーが評価されたとはいえど、リーガでは10位でシーズンを終え、結果的に昨季の6位、2季前の8位を下回る成績となっている。
「インパクトこそ残したが、成績は……」というのが、今季のビルバオの現状なのである。