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松坂大輔メジャー復帰が秒読み開始!
肘の手術の成功・失敗例を検証する。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAP/AFLO
posted2012/05/14 10:30
7日の3Aでの試合に登板した松坂大輔。「きょうは肘の感覚が重たくてダルい感じ」と試合後にコメントした。現在3Aダーラムに所属している松井秀喜との対決はあるのか?
手術後に3年20億円の契約を結んだティム・ハドソン。
復帰したあとの結果は、7試合に先発して投球回数は42回3分の1。2勝1敗、防御率3.61というものだった。
驚いたのは2009年のオフに、ブレーブスがハドソンと3年間でおよそ20億円にものぼる契約を交わしたことだ。この例をとってみても、メジャーリーグの球団がトミー・ジョン手術を受けた投手に対して、なんの偏見も持っていないことが分かる。
9月の1カ月間は、ハドソンにとっては「オーディション」期間だったのだ。ここで先発投手としての技量を見せたことで、彼のキャリアは「V字回復」を見せる。
翌2010年には17勝をマークしてカムバック賞を受賞、2011年も16勝をあげてブレーブスの先発投手陣の柱として活躍した。2011年のオフには背中の手術を受けたが、今季も5月からローテーションに復帰している。
クローザーに転向して大成功したジョン・スモルツ。
●ジョン・スモルツ(元ブレーブス)
スモルツといえばあごひげがトレードマークだった。1988年にブレーブスでデビューし、2009年まで現役を続けたタフな投手である。
彼は2000年にトミー・ジョン手術を受け、そのシーズンを棒に振っている。2001年に先発ローテーションに復帰したが、5試合の先発結果は思わしくなく、チーム事情もあってシーズン途中からクローザーに転向した。
これが大成功を収める。翌2002年には55セーブをマークしてナショナル・リーグのセーブ王に輝き、2003年には防御率1.12という記録を残している。
また、2005年には先発に復帰し、2006年には16勝をあげて最多勝をマークしている。
スモルツのケースを見ても、手術の影響はまったくない。ブレーブスがハドソンとの契約延長に迷いがなかったのも、スモルツのケースの活躍を見ていたからだろう。