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“確実性”の女子と“高難度”の男子。
NHK杯で体操の五輪代表選考を追う。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2012/05/08 10:30
勢揃いした日本代表選手たち。後列左から、田中佑典、加藤凌平、山室光史、田中和仁、内村航平。前列左から、新竹優子、鶴見虹子、寺本明日香、美濃部ゆう、田中理恵。
世界選手権の敗因となった鉄棒とゆかを強化したい男子。
一方の男子は、すでに内定している内村航平を除く4名を、全日本選手権、NHK杯の総合成績上位11位以内から、次の観点で選考する方法を採った。
・ゆかと鉄棒それぞれの最上位選手(計2名)
・個人総合最上位1名
・種目別ポイント選出1名
※上の2つで決まった3選手を除き、全種目の4日間合計ポイント(1位3ポイント、2位1ポイントで換算)の最上位者。
昨年の世界選手権で、日本は団体で銀メダルに終わった。優勝した中国との差で目立ったのが鉄棒とゆかだ。この両種目に強い選手を選ぶ意図などから、女子とは異なる選考方法となった。
女子とは対照的に、高難度の技が連発した男子の代表争い。
それもあって総合順位だけでなく、鉄棒とゆかの順位にも注目が集まった。
両種目に強い選手は、当然トップを狙いにいくために、高難度の技を繰り出す。それが大会の緊張感を高めていく。サバイバルの様相を呈した女子とは対照的ながら、やはり選考会ならではの厳しい戦いである。
その争いを制したのは、ゆかは加藤凌平、鉄棒が田中佑典。そして個人総合では内村を除いてトップの田中和仁、種目別ポイントのトップで山室光史の4人が代表に選ばれた。
内村も含め、他の4人は昨年の世界選手権に出場したメンバーだ。そこに、昨年は補欠だった加藤が加わった。加藤は今春、順天堂大学に入学した18歳。ゆかはむろんのこと、他の種目でも好演技が目立ち、総合でも4位と健闘し、初出場を決めた選手だ。
「先輩たちを追い上げて刺激になれば」
と、控えめに抱負を口にした。