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中畑監督ひとりに頼るなかれ!
DeNAの選手間で高まる意識改革。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/04/27 11:30
開幕から絶好調で打率首位に立っていた森本稀哲だが、最近は少し元気がなくなっている。移籍1年目の昨季は、結局故障で出場試合数も少ないままに終わったが、今季は新指揮官の下で大いに活躍を期待されている。
6勝13敗1分の最下位(4月27日現在)、という現実。
昨年12月に「横浜DeNAベイスターズ」となって以降、GM制度を導入し中畑清監督をはじめ首脳陣を一新するなど改革に着手。新たなチームに生まれ変わろうとしてはいる。
しかし、現時点での成績は、以前の横浜時代と比べても大した変化はない。
負け続けてもなお、ひとりチームを鼓舞する指揮官の姿。
それでも、中畑監督はチームを鼓舞し続ける。
4月4日からノーヒットノーラン負けを含め6連敗しようが、57年ぶりに球団ワーストを更新する46回連続無得点という不名誉な記録を作ろうが、指揮官は決して下を向くことはない。
今季初の3連勝を賭けた4月22日の阪神戦で3-11と大敗したときもそうだった。
「あそこでね(3-4と1点差まで追い上げた4回)、できれば一気に同点、逆転といきたかったけど、ピタッと攻撃が止まってしまうのが今のうちの課題。でも、雰囲気はすごくよかったんですよ。みんなに『いくぞ!』という雰囲気がものすごく感じられたからね。ただ、いくらそう思う心があっても体とマッチしていなかったなぁ」
中畑監督は、チームの課題を挙げつつも、阪神の先発・岩田稔をノックアウトし、一時は1点差まで追いついた粘りを評価する。そして、大敗のなかでも気持ちが折れていない選手たちの心意気を強調した。
避けられない、「監督だけやる気を出しても……」の雰囲気。
確かに、剣呑な姿勢を見せることなく血気盛んに物事をはっきりと述べ、ファンが喜ぶパフォーマンスを披露し続ける中畑監督は魅力的だ。
だが、それ故に、指揮官主導の報道ばかりが目立ってしまう事実もつきまとうし、「監督だけやる気を出しても……」と一部の人間から思われてしまうのは避けられないことでもある。