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中畑監督ひとりに頼るなかれ!
DeNAの選手間で高まる意識改革。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/04/27 11:30
開幕から絶好調で打率首位に立っていた森本稀哲だが、最近は少し元気がなくなっている。移籍1年目の昨季は、結局故障で出場試合数も少ないままに終わったが、今季は新指揮官の下で大いに活躍を期待されている。
「一番大事なのは選手同士で気持ちを高めあうこと」
チームが戦う集団となり、勝ち続けるために何より重要なのは選手の意識だ。
「周りは監督、監督というけど、選手はそこまで意識はしていないと思います。監督がチームの士気を高めてくれるのはもちろん嬉しいことですけど、一番大事なのは選手同士で気持ちを高めあって、それを試合で出していくこと。それがチームだと思います」
そう話すのは渡辺直人だ。
昨年はレギュラーとして試合に出ていた渡辺直だったが、今季はファーム落ちを経験するなど悔しいスタートを切った。その彼自身、競争という厳しい環境に身を置き、チームを俯瞰して見た時期があったからこそ分かるものがある。
焦りが出てきたということは、勝利への渇望がある、ということ。
「雰囲気にしても以前に比べても良くなっているな、とは感じています。僕はファームでしたからベンチにはいませんでしたけど、テレビなどで見ていてノーヒットノーランをやられた(4月6日)あたりから、選手たちに『打たなきゃ』という力みが見えるようになったというか。だから、慌てずに普段通りにプレーできるようになればチームは絶対に良くなると思っています」
力みが出るということは焦ること。
焦るということは危機感を抱くこと。
危機感を抱けば自然と勝利への渇望が生まれてくる。
渡辺直人の言葉からは、ノーヒットノーランや46回連続無得点の汚点があるにせよ、選手の意識改革を図る上ではそんな苦境でさえもむしろプラスの要因になっているのでは……と受け取れる。
そんな今だからこそ、DeNAは「生きた教材」から学ぶ時期にきている。