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プレミア今季最大のサプライズ!
“スワンゼロナ”快進撃の秘密。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/04/27 10:30

プレミア今季最大のサプライズ!“スワンゼロナ”快進撃の秘密。<Number Web> photograph by AFLO

中位以下のクラブから着実に勝ち点を重ねるのはもちろん、マンCやアーセナルから大金星を勝ち取るなど上位陣との対戦成績も優秀。まさに台風の目となった。

「教育の場」での徹底指導で埋もれた能力を引き出す。

 ロジャーズは、超一流の現役監督の下で熱心に指揮官としての「いろは」を学んだ。

 当時、チェルシー戦のメディア用ラウンジでは、積極的に国内紙の記者たちと面識を作り、チームのサッカーに対する意見や評価に耳を傾ける2軍監督の姿が頻繁に見られた。「英国人選手に比べて外国人選手が優れているのは、一般的に言われるテクニックではなく、戦術理解力だ」とロジャーズが実感したのも、多国籍軍の中に身を置いたチェルシー時代だったという。

 モウリーニョ退団の翌年に当たる'08年、ロジャーズは、「国産選手にも欧州大陸風のサッカーは可能だ」との信念の下に、ワトフォード(2部)で1軍監督としてのスタートを切り、レディングを経てスワンジーにやって来た。

 指揮官のポリシーは、フィジカル過多の下部リーグで埋もれていた国産テクニシャンたちの能力を引き出した。スワンジーの「メトロノーム」ことリオン・ブリットンが、その好例だ。身長165センチと小柄なMFは、こう言っている。

「監督は、練習場を『教育の場』と呼ぶんだ。常にボールの受け渡しが可能になるように、他のMFとの距離や、オフ・ザ・ボールでの動きをドリルで叩き込まれる。おかげで、今ではパスを受ける前の段階で、誰がどこにどう動くのか、自分はどうすればいいのかが分かっている」

シャビをも凌駕する93%のパス成功率を誇るブリットン。

 ブリットンは、トッテナムとのアウェイゲームに臨んだ4月1日の時点で、敵の司令塔、ルカ・モドリッチを凌ぐ今季通算1574本のパスを成功させていた。93%のパス成功率は、バルセロナの頭脳、シャビ・エルナンデスをも凌ぐ。4-2-3-1システムの中盤でコンビを組むジョー・アレンも、バルセロナでシャビに呼応するアンドレス・イニエスタと並ぶ、90%の成功率を記録していた。

 試合はスワンジーの敗戦(1-3)に終わった。フィジカルに欠ける集団は、ピッチを縦に切り裂くギャレス・ベイルの力走と、ゴール前でのエマニュエル・アデバヨールの高さに敗れた。だが、そのサッカーは相手監督にも讃えられた。

 試合後のベンチ前で、長々とロジャーズと談笑していたハリー・レドナップは、ウェストハム監督時代に、自身がアーセナルのユースから引き抜いたブリットンの成長ぶりを、ことさら嬉しく感じたに違いない。レドナップの離任後、スワンジーに放出されたブリットンは、29歳にしてようやく、少年時代にレドナップが見初めた才能を開花させた。

 ベテラン監督は、「イングランドの将来への青写真」とまで言って、ロジャーズのチーム作りを絶賛した。

【次ページ】 選手、スタッフ一丸で戦うチームをファンが後押し。

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