自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
TOKYO西側にある桜の新名所を、
自転車に乗って一気に巡礼してみる。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/04/22 08:00
20歳の頃に住んでいた家の近所には、こんな綺麗な桜が見られる公園があった。血気盛んなその頃の僕には、この桜の価値が分からなかったんだよなぁ……。
巨大な“赤玉”から目黒川へと流れていくと。
ということで、恵比寿ガーデンプレイスを、あっさりスルーすると、ご推察の通り、桜の新名所・目黒川に向かってみる。で、その前に山手線の陸橋を越えるわけ。
橋を渡るとき、間違いなく誰の目も釘付けになるのが、巨大な赤い丸であろう。なんだこの異様物体は。
実際には、赤い「丸」というより、立体的な「球」である。あまりに巨大でギョッとするんだけど、よくよく見ると、赤丸の下に教習用のクルマがたくさん走ってる。
なるほど、ここが噂の「日の丸自動車学校」なのだね。何が噂かというと、ここは芸能人が通うことで有名だからだ。
山手線に乗ってると車窓からよく見える。そばで見ると、なんかスゴいよ。「立体日の丸」の存在感が。
よく見ると、その教習コースにも桜だ。この季節は、自動車教習するにも、何か晴れがましい。桜は「学びの場」によく似合う。
さて、その立体日の丸を左手にかすめて、坂を登って、坂を降りると、人口密度がどんどん高くなって、いつの間にやら、そこは目黒川。昨今「桜の名所」として、とみに有名になったところだ。
世田谷区に源流を発して、目黒区、品川区を通って東京湾に注ぐ。目黒川はまさに「都会の川」なんだけど、そのうちの国道246号線から、目黒通りまでが、スペシャル桜区間。
わずか3.8kmの岸辺に830本ものソメイヨシノが植わっている。
中心となる場所は、東横線の中目黒付近だろうか。この中目黒という場所柄自体が、昨今「オシャレスポット」として、すごく注目を集めたこともあって、この「目黒川の桜」も、ここ数年とみに有名になった。
スポーツ自転車が多いぞ、オシャレ中目黒!!
そうだなぁ、この東横線の沿線にあって、中目黒って、以前はブラックホールとすら呼ばれたもんだ。代官山エリアと、自由が丘・碑文谷エリアに挟まれて、なぜか中目黒はパッとしない、なんてね。今となっては信じられない話なんだけど。
しかしながら、交通の利便性が、やがてそれを乗り越えていく。六本木に出るのにすごく便利、渋谷に行くにも目と鼻の先、ビジネス街へも直通だし、何より絶対的距離が都心に近い(ということは“流行りの自転車通勤”にもぴったりだ)。
中目黒には数々の有名飲食店ができ、スイーツとか、何だかとか、つまりは世の妙齢女性たちに大好評の街になった。実際に私のカミさんも、この街が大好き。
それにしても、スゴい人波だなぁ。自転車なんて到底走れないんで、この季節ばかりは降りて歩こう。
ホントはね、中目黒って「自転車利用者」がすごく多いんすよ。朝8時半頃に鎗ヶ崎交差点(中目黒と恵比寿の間にある大交差点)なんかに行くと、もう自転車ツーキニストだらけ。
ママチャリ率が低く、クロスバイクや、ロードバイク率が高い。路上の自転車をザッと見るだけで、自転車の平均購買価格が異様に高いことも容易に推測できる。だからこそこのあたりはキャノンデールやコルナゴなどマニアの専門ショップも多いのだ。
それにしても桜。
目黒川沿いの桜は、おそらく都内でも屈指の「たわわな桜」で、川面に向かって枝が伸びて伸びて、密集した花で、川に薄桃色の蓋ができたという感じ。
見る価値あり、の見事な桜である。