セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ノバーラ森本貴幸はどこへ行く?
守備意識の向上に復活をかける。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/04/13 10:30
4月1日、アウェーのローマ戦。後半途中出場の森本は77分、FWカラッチョロのスルーパスから抜け出し、相手GKとの1対1を冷静に右足で決め、今季4点目を挙げた。
「ここまでの自分の出来に満足していない。今季はもっとやれるという期待があった」
森本貴幸の言葉はいつもストレートだ。今季も終盤を控え、どの選手も来シーズンの身の振り方を考え始める3月末、久しぶりの会見で心情を吐露した。
開幕前の森本は、環境の変化を心から望んでいた。5年を過ごしたカターニャを離れ、キャリア再出発のために北部ノバーラへ。
「最低でも10点は獲りたい。カウンターでも、オーバーヘッドでも、形は何でもいい。尻で押し込んでもゴールはゴール」と現地メディアへ威勢よく語り、新天地へ期する思いも大きかった。
長友佑都との日本人対決で注目された4節インテル戦では3対1の勝利を収め、PKを奪うなど2得点に絡む活躍を見せた森本はジャイアントキリングの主役を演じた。
課題とする守備意識の向上に、森本はもう気づいている。
だが、昨年11月の右ひざ手術以降、足首や筋肉系の度重なる故障に悩まされてきた。
出場機会とゴールへの飢えは満たされず、1月の移籍市場でさらに環境を変える可能性もあった。成立目前だった中堅キエーボへのレンタルはメディカル・チェックをパスできず破談に。苦渋を乗り越え、2月にあらためて戦力復帰すると、トップコンディションを手に入れるため、日々の練習に取り組んだ。
セリエA6年目の今季、31節終了時点の成績は出場14試合4ゴールに留まっている。チームの稼ぎ頭、MFリゴーニの7得点(3PK)に次ぐ4得点はFW陣トップだが、いかにも寂しい数字だ。
毎年開幕前に期待を集めながら、殻を破れないシーズンが続いてきた。
森本自身、レベルアップに欠けているものが守備の意識だということを認識し始めている。
「高い位置からプレスをかけるために『もっと動いて、チームのために働くんだ!』とテッセル監督から毎日言われている。そこで成長できれば……」