セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ノバーラ森本貴幸はどこへ行く?
守備意識の向上に復活をかける。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/04/13 10:30
4月1日、アウェーのローマ戦。後半途中出場の森本は77分、FWカラッチョロのスルーパスから抜け出し、相手GKとの1対1を冷静に右足で決め、今季4点目を挙げた。
昨年9月の招集辞退以来、代表から遠ざかっている森本。
プレス技術の向上は日本代表復帰に直結している。
昨年9月のブラジルW杯アジア3次予選の招集を左足首負傷で辞退して以降、森本は代表から遠ざかっているが、FWによる前線からのプレスはザッケローニ代表監督が目指すサッカーにとって必要不可欠なものだ。
テッセル監督が標榜するプレーもザック率いる日本代表同様、素早い攻守の切り替えを念頭に置く。ピッチ全面をカバーする積極的なプレスは、コンセプト自体はモダンなものである。
ノバーラは降格確実……カターニャ復帰の可能性は?
ただし、ノバーラは得失点ともにリーグワースト2位で降格圏内の19位に沈み、残留ラインである17位との勝ち点差11をひっくり返すことはほぼ絶望的。2度の監督交代を経て、1月の移籍市場でも攻撃陣の補強に努めたが実りは少なかった。
わずか2年で3部から昇格してきたノバーラは野心的ではあったものの、クラブ組織力の点でもセリエAの苛烈な残留争いを戦う実力が伴っていたとは言いがたかった。
森本は6年のイタリア生活の中で延べ9人の指導者を得たが、彼を個人的に最も理解し、FWとしての適性を生かす起用法をしたのは、国際経験豊かなワルテル・ゼンガ(現アル・ナスル)のみだったように思う。
今も森本の共同保有権を持つカターニャは、今季から新監督モンテッラを迎え、欧州カップ戦出場を狙えるほどの大躍進を見せている。
今シーズン終了後、仮に森本がカターニャに復帰するとして、今や若手指導者ナンバー1との呼び声高い元ストライカーが森本をどう指導するか、興味は尽きない。