後半、なでしこらしいパス回しが復活したのだが……。

　しかし、ハーフタイムで指揮官がメンバーチェンジやポジション変更を行って戦い方を修正すると、前半ハイペースで飛ばし過ぎたドイツ選手の疲れもあり、なでしこらしいパス回しが復活。終了間際に勝ち越しゴールを許してしまい結果的に大会初優勝こそ逃したものの、シーズン真っ只中でコンディション万全のドイツをあと一歩のところまで追いつめた。

　展開に応じて、選手たち自身で試合運びを変化させていく柔軟さを欠いていたのは、今大会におけるなでしこの反省材料。

　だが日本に比べてはるかに仕上がっている世界の両雄を相手に、これまで出場経験の少ない選手を試しながら堂々と渡り合えたことは、特筆すべき収穫だ。しかもそれを、なでしこの象徴的存在だった澤穂希（I神戸）抜きで成し遂げたのである。

　ロンドン五輪に向けてこれからチームを仕上げていく上で、今回のアルガルベカップは、なかなか悪くない出発点となったと言えるのではないだろうか。