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グアルディオラ、審判に幻滅!?
ギブアップ宣言の真意を探る。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMutsu Kawamori
posted2012/03/08 10:29
首位レアル・マドリーとの勝ち点差は依然として10ポイント。勝ち目の薄いリーガより、CLと国王杯に専念したほうが“合理的”ともいえるが……。
2月末の話になるが、敵地で行なわれた第25節のアトレティコ・マドリー戦終了後、バルセロナのグアルディオラは突然のギブアップ宣言で記者会見場にいたジャーナリストを驚かせた。
「今季、僕らのリーガ優勝はないと思う。ただし最後まで、全ての試合で戦い続けるつもりだ」
負けた後ならわかる。しかしバルサは、シメオネの監督就任後から無敗を続けてきたアトレティコの勢いに耐え、逆にメッシの頭脳的なゴールで勝利して士気を高めたばかり。首位レアル・マドリーとの差は10ポイントまで開いてしまったけれど、まだ14試合も残っている時点で指揮官が白旗を揚げるのは不可解だ。
そもそも、なぜ無理なのか。
グアルディオラは理由を明らかにしなかった。が、ヒントは残していった。
同日通算5枚目のイエローカードをもらったメッシが次節欠場することに触れた際、付け加えた一言、「(次節欠場するマドリーの)ペペと同じように」である。
バルサ最大の難敵はレフェリーの偏向ジャッジ!?
蹴られ削られまくる側のメッシと、プレースタイルがラフなことではリーガ有数のペペが共に5枚だって?
バルサのアトレティコ戦の前に行なわれていたラージョ・バジェカーノ対マドリー戦で、ペペがもらったイエローカードがメッシ同様通算5枚目だったことに、彼は皮肉を言ったのだ。
グアルディオラがペペの次節出場停止を知っていたということは、ラージョ対マドリー戦で何が起きたのか知っていたと推測できる。即ち、マドリーのセルヒオ・ラモスとペペが犯した一発退場もののファウルが不問にされ、反対に、正当なタックルを仕掛けたラージョのミチュにレッドカードが出されたことまで、グアルディオラは暗に指摘していたということだ。
その上で過去のコメントを振り返ると、グアルディオラの心中にある“理由”にいよいよ見当がつく。5-1で勝利した第24節バレンシア戦後、彼は「僕らは10ポイントも差をつけられるような(酷い)サッカーはしていない」と語っていた。
0-0で引き分けた第21節ビジャレアル戦後は、逃した勝利を惜しみながら、「いろいろな訳があって、マドリーは今後ほとんどポイントを落とさないだろう」と予言した。
ということは、つまり、グアルディオラはレフェリーの偏ったジャッジがマドリーに味方し、バルサの逆転優勝を阻むと考えているのだ。