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グアルディオラ、審判に幻滅!?
ギブアップ宣言の真意を探る。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMutsu Kawamori
posted2012/03/08 10:29
首位レアル・マドリーとの勝ち点差は依然として10ポイント。勝ち目の薄いリーガより、CLと国王杯に専念したほうが“合理的”ともいえるが……。
“正当”な判定ではマドリーとバルサの差は3ポイント。
実際、レフェリーについて公に意見を述べることをよしとしないグアルディオラだが、近しい人には相当不平を漏らしているという。また、納得いかないジャッジがあるたび記者会見で不満を露わにし、スタジアムの駐車場でレフェリーの出待ちさえ行なうモウリーニョのプレッシャーが、ジャッジの全般的な傾向に影響を与え始めたことを認めてもいるという。
では、今季のジャッジは本当に偏っているのか。
スポーツ紙ASは毎節終了後、怪しいジャッジを拾い上げ、引退したレフェリーにビデオで再判定させている。その結果を基に作っている順位表によると、第25節が終わった時点で首位マドリー、2位バルサは変わらないが、両者の差はわずか3ポイントしかない。ちなみに3位以下はアスレティック(バルサとの差は18ポイント)、オサスナ、バレンシア、アトレティコの順だ。
もちろんこれだけでレフェリーの贔屓を断定することはできないが、10ポイント差は開き過ぎだという見方はできるだろう。
特定チームOBが会長職を独占する審議委員会への不信。
ところが、こうしたレフェリーの偏向疑惑あるいはジャッジミスが解消される兆しは一向に感じられない。そのためメディアの報道や議論が熱を帯び、ラジオやテレビのサッカー番組はこの話題に大きく時間を割くようになった。
スポーツ紙は試合の翌日、このレフェリーの疑惑をトップニュースとして扱うようになった。メッシやクリスティアーノ・ロナウドの素晴らしいプレーを讃える記事の横で、やれPKが見逃された、やれカードが出なかったとやるわけだ。
そのメディア同士の主張合戦も活性化している。
数年前、マドリー寄りのAS紙が「バルサの強さの裏にはサッカー協会長の意向による偏向ジャッジがある」という陰謀論を唱えた。その因縁もあって、今回はバルサ寄りのメディアが熱くなっており、おかげで国のレフェリー委員会の会長の座がマドリーのOBや元役員や元ソシオでほぼ独占されてきた事実までが明らかになった。
国中がそんな話題で沸き上がっている中、先の週末バルサはカンプノウで第26節スポルティング・ヒホン戦を戦った。
結果は3-1の勝利だったが、もらえるはずのPKが3度も流され、ピケが不可解なレッドカードをもらうこととなった。
試合後の記者会見に出たグアルディオラは、今度はもう一歩踏み込んで言った。
「バルサが首位でないのはレフェリーのせいじゃない。だが、マドリーとの差がこれだけ開いているのは僕らのミスだけが原因じゃない。それはハッキリさせておく」